■ライバル車よりも一歩先を行く先進安全装備が魅力
しかし、AクラスのライバルであるBMW1シリーズやアウディA3などと比較すると、Aクラスの価格設定は高額だ。にもかかわらず、売れている。
●メルセデスベンツAクラス価格帯(362万~807万円)
●BMW1シリーズ価格帯(337万~633万円)
●アウディA3シリーズ価格帯(329万~661万円)
これも理由はハッキリしている。Aクラスの標準装備を見ると、LEDヘッドライト、ワイアレスチャージ、24時間緊急通報サービスなどのメルセデス・ミー・コネクト。対話型インフォテイメントシステム(MBUX)が標準装備。
直近では先進安全運転支援システムのレーダーセーフティパッケージも標準装備になっている。
Aクラスを購入するユーザーは他社も比較することが多いのだが、オプションを付けていくと、Aクラスと同じレベルの価格帯になることも多いという。「それならメルセデスにするか!」というケースもあるようだ。
そのAクラスのライバルといえるBMW1シリーズだが、2020年度の登録台数ランキングでは11位。台数ではAクラスに約3000台ほど差をつけられている。この差はどこからきているのか。これも取材をしていくと、興味深い事柄がわかってきた。
■競合するBMW1シリーズは販売面で大きく水をあけられている
それは、女性ユーザーとセカンドカー需要だ。
女性ユーザーはAクラスでは、推定で3割ぐらいと言われている。一方、1シリーズは「おそらく2割にも満たないかも」(販売員)。
その理由だが、BMWのキャッチフレーズだ。「駆けぬける歓び」。BMWの走りの楽しさを表現した言葉として、すっかり定着している。しかし、これが女性ユーザーには「ひびかない」。むしろ、「BMWは走りのクルマだから、合わない」と思われ、敬遠されてしまうことがあるのだ。
キャッチフレーズが定着したのはいいことなのだが、販売の現場では悩みのタネにもなっている。
これがセカンドカー需要にもかかわってくる。実際に名義上もセカンドカーとして登録されているAクラスは、全体の1割程度のようだが、高級住宅地や会社オーナーのガレージで、メルセデスが2~3台並んでいる光景は見かける。もちろんその1台はAクラスだ。
しかし、BMWの2~3台持ちという光景はあまり見かけないような気がする。
2~3台目のクルマは大抵が娘さんか奥様用。その時に安全性や先進性を強調するメルセデスを、すでに出入りしているセールスに薦められれば「購入」というケースは多くなる。
クルマ本体からセールスまでのいろいろな意味での幅広さがAクラスをランキング2位まで上昇させた理由といえる。
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