なぜタイミングベルトに再脚光?
しかし、ここに来てふたたびタイミングベルトが注目を浴びるようになってきました。
タイミングベルトは、タイミングチェーンに比べて重量が軽くなります。重量が軽いほうがエンジンの負担は減ります。タイミングチェーンもタイミングベルトもテンショナーといわれるパーツで、チェーンやベルトに“張り”を与えておかなくてはなりませんが、タイミングベルトのほうが弱い“張り”で使うことができます。
“張り”が強いほどエンジンの抵抗となります。タイミングベルトは重量でも“張り”でもタイミングチェーンよりも負担が少ないので、エンジンの効率をアップして燃費を向上することができます。
燃費が向上できると二酸化炭素排出量も減らせるため、各国の環境規制をクリアする手段としてタイミングベルトをふたたび採用するケースが増加しつつあります。
タイミングチェーンは、エンジン内部のオイルが存在する場所に配置されますが、一般的なタイミングベルトはエンジンの外側のオイルが存在しない場所に配置されています。
ベルトにオイルが付着すると「膨潤」といって、ベルトに使われているゴムの分子の間にオイルが入り込んで膨らんでしまう現象が起きます。膨潤を起こすとベルトの耐久性は急激に低下して断裂します。
しかし、最新のタイミングベルトはこの膨潤を克服することでエンジンのオイルの存在する場所、つまりタイミングチェーンと同じ場所に配置することが可能になりました。
これは、エンジンの設計を大きく変えることなく、タイミングチェーン方式をタイミングベルト方式に変更できることを意味します。
そして、オイルに触れながら使うことで逆に寿命が延びることになります。たとえば、プジョー208に使われている湿式タイミングベルトは10万kmまたは6年が推奨交換時期となっています。
タイミングベルトの適切な交換時期は?
さて、一般的なタイミングベルトやタイミングチェーンの交換タイミングはどうなっているのでしょう。
一般的な例だと国産車の場合、タイミングベルトは10万km、輸入車の場合は3万kmで交換という例もみられます。タイミングベルトが切れると、エンジンが致命的なトラブルに巻き込まれることがあるため、この走行距離は余裕を持った数値となっています。
しかし、タイミングベルトの場合は断裂の予兆がないためメーカー推奨距離で交換するしかありません。
タイミングチェーンは無交換となっています。タイミングチェーンの場合はチェーンが伸びてきてその伸びをチェーンテンショナーが調整しますが、調整幅を超えてしまうと異音や不調を現れますが、そこまで使い込む人は非常にまれです。
タイミングベルトの交換時期は公表されているものは取扱説明書に記載されていることも多くあります。記載されていない場合でもディーラーのメカニックに「私のクルマはいつ交換すればいいか?」を質問すれば調べてくれるはずです。その際には交換工賃の目安も含めて確認しましょう。
この確認は購入後に行うのではなく、購入前に行うことが大切です。そうすることで、クルマ選びの指針にもなりますし、いつごろにどれくらいの費用が必要になってくるか? いつぐらいに乗り換えればいいか? などの目安にもなります。
もちろんこれらはノーマルの状態で乗っているクルマの話で、エンジンをチューンアップしてパワーが出ていたり、高回転まで回るようになっていれば寿命は短くなります。
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