世界最強GT-Rの継承車が不在!! 2020年に終焉か!? 次期型開発凍結に迫る

世界最強GT-Rの継承車が不在!! 2020年に終焉か!? 次期型開発凍結に迫る

デビューから早10年以上。日産、いや日本が誇るスーパースポーツGT-Rもそろそろモデルチェンジが期待される時期だ。しかし、ベストカーにも次期型のハッキリとした情報は入ってきていない。

現行のR35型でついに最強の符号「GT-R」にもピリオドが打たれてしまうのではないか、という噂も現実味を帯びてきた。年次改良を続けてきたGT-Rだが、近年はその動きも少し鈍重。いよいよXデーか、噂の「深層」に迫ります。

文:ベストカー編集部
写真:池之平昌信、ベストカー編集部

初出:ベストカー2018年6月10日号


■R35にはもう大きなアップデートはない

本誌でも既報のように、日産GT-Rは次期型の開発が凍結され、現行型を継続販売し消滅する……との情報が有力だ。

2007年にデビューしたR35型は毎年のように改良され熟成度を増しながら進化を続け、現在の”MY2018″(編註:”MY”は”Model Year”の略で年式を指す)が登場したのは昨年、2017年11月16日。

ベストカーの最高速テストでもその実力を発揮したように、今もって世界のトップレベルのパフォーマンスを見せつけるなど、高い完成度を誇っている。

言うまでもなく、R35GT-Rの開発を主導し、世に送り出したのは本誌でも鋭く舌鋒を奮っていただいている水野和敏氏。

水野氏の話では、日産在籍時代、今後の展開としてハイブリッド化であるとか、SUVへのバリエーション展開など、GT-Rを単一車種として企画したのではなく、幅広いモデル展開を念頭に置いて基本パッケージングを開発したという。

ただ残念ながら水野氏は定年により日産を退社。その後水野氏の抱いた構想は受け継がれることなく、SUVなどへの車種展開は現在のところ計画にはなく、またGT-R本体も水野氏の狙いとは別の方向で進化の道を歩んでいる。

「GT-Rは2ドアだけではなくSUVにもセダンにもできるように作った」と水野氏はいう。しかしついのその計画は実現されないままR35は歴史に終止符を打ちそうだ
「GT-Rは2ドアだけではなくSUVにもセダンにもできるように作った」と水野氏はいう。しかしついにその計画は実現されないままR35は歴史に終止符を打ちそうだ

「少なくとも、R35型の正常進化型という意味での次期型GT─Rはない」

日産の開発現場に近い関係者は明確に言う。

複数の関係者の話を総合していくと、現行R35型の最終バージョンとして、2019年秋に”MY2020″が登場。2022年頃まで継続販売され、R35型GT-Rの歴史に終止符を打つ、という流れは既定路線で間違いないようだ。

このMY2020だが、大幅な変更が加えられるということはない模様。

これまでの年次改良ではエンジンのパワーアップやボディ剛性の向上、サスペンションチューニングの変更などが実施されてきたが、2013年11月19日に実施されたBIGチェンジ(MY2014)でサスペンションチューニングを大幅に変更。

その後2016年3月27日登場の”MY2017″ではエクステリアデザインを大幅に変更。MY2014での変更と合わせてGT-Rは登場時から内外ともに一新したことになる。

■日産の開発現場はすでに4WDから離脱した新型GT-R像があった

次期型GT-Rが最初から計画になかったのかというと、そのようなことはなく、モデルチェンジに向けて開発は進行していた。だがそれは、R35GT-Rの正常進化型というものではなく、汎用性のあるFRプラットフォームをベースとしたものであった。

R35GT-Rのパッケージングを決定づけているのは、言うまでもなく独自のフロントミドシップ、トランスアクスルAWDにある。

フロントアクスルよりも後方に、しかも低い位置に搭載するV6ツインターボエンジン。この搭載位置を実現するためにもトランスミッションはリアアクスル前方に配置する必然があった。

これは動的な状態での前後重量配分の適正化を実現するためのレイアウトだが、高速回転するエンジンの出力軸をプロペラシャフトでトランスアクスルに伝達する必要があり、高い精度が要求される。

また、4WDのためにフロントタイヤに動力を伝達するため、今度はトランスアクスルから折り返すように前方に向けた別のプロペラシャフトが必要となる。トランスアクスル自体の大きさもあり、後席スペースを少なからず犠牲にする。

次期型GT-Rのベストカー予想CG。水野氏が作ったプラットフォーム、そして4WDからの離脱を前提に開発が進んでいたという
次期型GT-Rのベストカー予想CG。水野氏が作ったプラットフォーム、そして4WDからの離脱を前提に開発が進んでいたという

2ドアクーペのGT-Rであればいいのだが、後席3人乗りのセダンなどでは、このトランスアクスルを使ったプラットフォームは制約が大きすぎる、というのが現在の日産経営陣の判断、ということであろう。

開発が進められていた次期型GT-Rはトランスアクスル方式ではなく、一般的なフロントミドシップレイアウトで検討されていた。すなわち、V37系スカイラインの派生モデルという位置づけだ。

水野氏在社当時からR35GT-R開発チームは、一般的にイメージされる規模とは比べものにならないほど少人数の、言わば少数精鋭部隊で編成されていた。

水野氏の退社とともにこのチームは解体され、開発に携わったメンバーはさまざまなセクションに異動となった。

これは会社組織としてはよくある話で、特段のことではないのだが、結果的にはこれによって水野氏が描いていたR35GT-Rをベースとした車種展開の構想は霧散したといって間違いなかろう。

こうしてR35GT-R開発とは関連性のないところで次期型GT-R開発プランは進行していたのだ。

次ページは : ■日産の電動化戦略の流れに翻弄されるGT-R

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