■弱り目に祟り目……第4戦にして初のリタイア
角田選手にとっては、あまり良い雰囲気とは言えない中、決勝日がやってきました。
ポールポジションは、相変わらず安定した速さのメルセデスのルイス・ハミルトン。そして、レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、2番手からのスタートです。
フェルスタッペンは、ラバーが乗った有利なイン側だったこともあり、スタートの蹴り出しは抜群!いきなり1コーナーでハミルトンをオーバーテイクし、素晴らしい滑り出しを見せます。角田選手は、接触を避けるためか、一時は18位まで転落しましたが、その後16位までポジションを戻します。
しかし、8ラップ目。イエローフラッグが出て、映像が切り替わると、なんと角田選手のマシンがストップしています。「スピン?!」と思ったのですが、ここで角田選手の無線が入りました。「ENGINE STOP!」と……。
マシンが完全に沈黙してしまったため、残念ながらここでリタイア。
アルファタウリのテクニカルディレクターである田辺豊治さんによると、「何らかのトラブルで燃料圧力低下し、燃料がエンジンに供給されなくなってしまった」とのこと。
今回は、角田選手に非はなかったものの、最近上手く流れを掴めていないところが気になります。次戦以降は、どうか角田選手が納得の行く走りができますように……。
■レッドブルのフェルスタッペンが健闘
今回は、角田選手が序盤でリタイアと残念な結果に終わりましたが、スペインGP自体は、ハミルトンとフェルスタッペンの熱い戦いが見られた大興奮のグランプリでした。
1周目でハミルトンを抜き、トップに躍り出たフェルスタッペンは、その後もレースを先導。 1回目のピットストップ後も、フェルスタッペンは危なげなく前を走り続けます。正直、私は「フェルスタッペン、勝ったな!」と思ったのですが、勝負が動いたのはさらに先、43周目に入った時でした。
なんと、ハミルトンがタイヤ交換後に14周しかしていないのにも関わらず、フェルスタッペンより先にピットイン。またしてもミディアムタイヤに交換しました。
「なぜ、このタイミングで?!」と、見ていた人たちは混乱したと思います。そして、それを見たレッドブルは全く動かず。「なぜ?!」のクエスチョンが増えていくばかりです。それから数周後、ハミルトンがとんでもないペースでラップを刻んでいるのを見て、「しまった!」と思い至りました。
レースは、残り23周ですが、フェルスタッペンに残されたタイヤは、ソフトタイヤのみ。ソフトタイヤは劣化が早いので、今交換してしまうと最後までトップを守り続けるのは厳しくなります。
「じゃあ、ソフトタイヤに交換可能なのは、あと何周先だ?!」自分の脳のCPUをフル回転させて計算しました。ソフトタイヤでハミルトンを押さえ切るには、最低でも、あと4周我慢してピットインしなければいけません。
しかし、気づいた時にはもう、フェルスタッペンがピットインした時点で、ハミルトンが前に出てしまうタイム差になっていました。
■フェルスタッペンが2位! ファステストラップも獲得
万事休す……。フェルスタッペンは、結局メルセデスの作戦によってピットインできず、1セットのミディアムタイヤで、約40周走ることを強いられました。おそるべし、メルセデス。
F1では、ひとつのグランプリで使用できるタイヤの数が決められています。今回、メルセデスが、決勝にミディアムタイヤを残していた時点で、すでにハミルトンの優勝は決定づけられていたのかもしれません。
あまりに見事なメルセデスの作戦とハミルトンの走りに、悔しいながらも清々しさすら残るグランプリになりました。
フェルスタッペンもハミルトンには抜かれましたが、2位表彰台を飾りましたし、ファステストポイントも獲得することができました。フェルスタッペンは、まだまだチャンピオンを狙える位置にいるので、引き続きホンダPU勢も応援していきたいと思います!



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