■AE92型5代目レビン/トレノ初のFF化モデル
1987年5月に登場した次の世代のAE92から、レビンとトレノはFFのスポーツクーペに生まれ変わった。ボディタイプは2ドアクーペだけとなり、プアマンズ・ソアラのようなポジションに落ち着いている。
エンジンは横置きにマウントされ、前輪を駆動した。改良された4A-GEU型直列4気筒DOHC4バルブに加え、スーパーチャージャーで武装した4A-G ZE型DOHC4バルブが登場したことが新しい。1989年夏にエンジンにメスを入れ、パワーアップしたが、スーパーチャージャー仕様を含め、高回転まで気持ちよく回るように改善されている。
サスペンションは、4輪ともストラット/コイルの4輪独立懸架だ。シャシーが新しくなったこともあり、素直でコントロールしやすいハンドリングを手に入れている。全体にマイルドな性格になったから、荒々しいAE86を懐かしむファンも多かった。だが、素性のよさに加え、速さもピカイチだ。
実力が高いことはグループAレースなどでチャンピオンに輝いたことからもわかる。
■AE101型6代目レビン/トレノ 4A-Gエンジンが5バルブへと進化
バブル期に開発され、1991年6月にデビューしたのが、FF2代目のAE101系カローラレビンとスプリンタートレノだ。最大の魅力は1.6Lの4A-GE型直列4気筒DOHCエンジンが第2世代のスポーツツインカムに生まれ変わったことである。
可変バルブタイミング機構のVVTや1気筒当たり5バルブ方式を採用し、レーシングエンジン並みの鋭いレスポンスと痛快な加速性能を手にいれた。また、DOHC4バルブにインタークーラー付きスーパーチャージャーを組み合わせたエンジンもパワーアップし、全域でパンチとパワー感を増している。
ハンドリングも痛快だ。革新的なスーパーストラットサスペンションや進化版の電子制御サスペンションのTEMS、ビスカスLSDを採用し、荒れた路面でも強大なトラクション性能を見せつけた。だが、先代より車両重量は80kgも重くなっていたから、軽快感は今一歩にとどまっている。
■AE111型7代目レビン/トレノ シリーズ最強の最終型
FFのレビン/トレノの集大成モデルが、最後の作品となったAE111だ。1995年5月にデビューしたが、ピュアスポーツとしての性格を強めた。その証拠にスーパーチャージャー仕様を整理し、4A-GE型直列4気筒DOHC5バルブエンジンだけに絞り込んでいる。しかも最高出力を160psから165psに引き上げ、VVTも引き継いだからパンチがあり、扱いやすさも群を抜く。
また、骨格構造を見直し、AE101レビン/トレノより70kgもの軽量化に成功した。衝撃吸収ボディの採用により剛性と安全性も大きく向上している。特に1997年4月以降はGOAボディになり、さらにしっかり感を増した。
スーパーストラットを採用した5速MT車はヘリカルLSDも標準だからスタビリティ能力は高いし、限界性能も高い。
インテリアなどにカネがかかっており、いい気分で乗れるのはAE101系レビンとトレノだが、操って面白い最強のレビン/トレノは最後に登場したAE111だと思う。FFスポーツだが、FRのAE86のように振り回す楽しさも満喫できる。
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