樹脂でもツヤツヤの高級感!? 車の内装にピアノブラック なぜ急増?

■なぜ採用増? 技術の進歩で「低コスト」が可能に

写真は先代ノートの内装。カーナビが収まるセンターパネルやシフトレバーにピアノブラックの樹脂が使われている
写真は先代ノートの内装。カーナビが収まるセンターパネルやシフトレバーにピアノブラックの樹脂が使われている

 ピアノブラックフィニッシャーの部品は、ABS樹脂にブラックの顔料を混ぜた材料でつくられている。ABS樹脂は、「耐熱性」、「機械強度」、「耐油性」、「耐衝撃性」、「光沢」、「加工性」などの特徴がある汎用性の高いプラスチック素材であり、質感向上を求められているインテリアのパーツにもぴったりなのだ。

 これらは射出成形によって製造されている。射出成形とは、高温で溶かしたプラスチックの材料を、金型の中に流し込み、冷却して固めるという工法のこと。その最大のメリットは、一度金型を作ってしまえば、正確で高品質な製品を、大量に素早く作ることができる生産性の高さだ。

 おもちゃのプラモデルでもお馴染みで、複雑な造形の製品であっても、射出成形機によって、正確かつ速いスピードで生産される。金型のサイズにもよるが、速ければ数秒に1個のスピードで生産することができる。

 ピアノブラックフィニッシャーの部品は、塗装なしで高級感のある仕上げができる「高速ヒートサイクル成形」という工法で作られている。

 射出時に圧力をかけることで、金型内に樹脂がスムーズにいきわたるようにしており、また金型内の温度を緻密に制御することで、樹脂の分子が均一に並んだ光沢のある状態で凝固させることができるのだ。

 かつては、樹脂成形したあとの工程で、塗装と研磨を行っていたが、この高速ヒートサイクル成形の登場によって、それが不要となり、仕上がりの良さとコスト低減(工数及び塗装時間の削減)が、同時にできるようになった。そのため、近年ピアノブラックフィニッシャーは増えているのだ。

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 メッキのフィニッシャーもそうだが、使用する面積が多ければ多いほど良い、ということではない。適所に適量を使うほうが、センスがあるように思う。

 安く簡単に高級感を出すことができるピアノブラックフィニッシャーは、今後もクルマのいたるところに使われていくだろう。

【画像ギャラリー】元祖・ピアノブラック?? 流行の端緒となったクルマの一つ、日産先代ノート

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