■2代目も好評。にもかかわらずミラ ジーノが生産終了となった背景は?
そのたたずまいの良さと、走行性能や実用性の高さから人気を博し、「一瞬の打ち上げ花火」では終わらずに代を重ねたダイハツ ミラ ジーノが、車種整理の憂き目にあった理由。
それは、主には「軽トールワゴンないしは軽スーパートールワゴン全盛の世の中になってしまったから」ということでしょう。
初代ミラ ジーノが登場した1999年は、すでにスズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴなどの軽トールワゴンが大人気にはなっていました。とはいえ、まだまだ一般的な車高の軽自動車も普通に求められている時代ではありました。
しかしその後、ご存じのとおり2003年に初代ダイハツ タントが誕生したことで、軽自動車の潜在ユーザーたちは「どうせ買うならスペース効率が高い軽自動車のほうがいいんじゃね?」という考え方に、どんどんとシフトしていきました。
そうなっても、背が高くない軽自動にも一定の需要はあるため、いきなりすべての軽がトールワゴンタイプまたはスーパートールワゴンタイプになるわけではありません。
しかし「需要の主力」が背が高いほうへと移れば、主力ではないほうのカテゴリーに属するモデルは「何車種もあってもあまり意味がないので(むしろ会社の利益を損なうので)、ここはひとつバッサリと整理するか」と考えるのは、企業としては当たり前の判断です。
そのため「背が低いほう」に属するダイハツの軽自動車は、主に女性ユーザーが通勤や買い物などに使うことを想定した(つまり、背が低くてもそれなりに売れるはずの)ミラ ココアを中心に売ることとし、実用性と走行性能を優先したい性別不問のユーザー群に対しては、「すみませんが、そういった場合はムーブかタントを買ってください」という方針をとることにしたのです。
そういった形で――直接の後継モデルではないのですが、事実上の後継モデルとして――登場したダイハツ ミラ ココアは、もちろん悪い車ではないのですが、デザインとしてはさすがに「砂糖入れすぎのココア」みたいなものではありました。
甘すぎ系のデザインが時代にマッチしなくなったことで、ミラ ココアは2018年に販売終了となり、その後はより中性的な立ち位置の「ダイハツ ミラ トコット」が、女性ユーザーに買われることを意識した軽自動車として販売されています。
そういった意味では、ミラ ジーノの「事実上の後継モデル」はミラ ココアではなく、ミラ トコットなのかもしれませんが、まぁそれはどうでもいい余談です。
いずれにせよダイハツ ミラ ジーノは、時代の流れゆえに仕方ない話ではあるのですが、コツコツと正常進化を続けていたらちょっと面白かったのに――と思わせる、実力派の軽自動車ではありました。
■ダイハツ ミラ ジーノ(2代目)主要諸元
・全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1515mm
・ホイールベース:2390mm
・車重:820kg
・エンジン:直列3気筒DOHC、659cc
・最高出力:58ps/7600rpm
・最大トルク:6.5kgm/4000rpm
・燃費:18.8km/L(10・15モード)
・価格:138万6000円(2006年式 ミニライト)
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