2018年8月から急増! 近年、トミカでフェラーリが増えている理由は?

■ライセンス契約の関係で

これが紙箱ならぬ『神箱』。外箱よりわずかに厚めの内箱で中のトミカが保護されている
これが紙箱ならぬ『神箱』。外箱よりわずかに厚めの内箱で中のトミカが保護されている

 販売されなかった理由……それはフェラーリ社との模型を製造販売する上でのライセンス契約(版権)である。

 ホットウィールなどでおなじみの米国マテル社が1999年から2014年までフェラーリと独占的なライセンス契約を結んでいたため、トミカやそのほかのメーカーからもフェラーリのミニカーを出すことができなかったのだ。

 この期間はプラモデル等の組み立てモデル(組み立てモデルはその後許可されて再び市場に流通)や完成品モデルのミニカー、モデルカーについて米国マテル社でのみ製造が可能だったのである。

 なお、日本では米国マテル社の正規輸入代理店である京商が製造・販売権を得ており、マテル社のホットウィールと異なる価格帯(つまりホットウィールよりもかなり高額)でのみ製造・販売が認められていた。

 そして、長い間トミカから発売されてこなかったフェラーリが復活したのは2018年8月のこと。

 ただし、復活といってもタカラトミーに版権が移ったわけではない。少々、複雑な事情があるのだが、まずは、トミカ「フェラーリモデル」の箱に記された版権に関する記述をみてみよう。

(c) TOMY
Produced under license of Ferrari S.p.A. The name FERRARI, the PRANCING HORSE device, all associated logos and distinctive designs are property of Ferrari S.p.A. The body designs of the Ferrari cars are protected as Ferrari S.p.A. property under design, trademark and trade dress regulations.
Produced under license of M.C.G.: Maisto and Bburago.

(参考)
トミカ「フェラーリモデル」は、フェラーリS.p.Aのライセンスに基づいて製造されています。
FERRARIという名前、PRANCING HORSE(跳ね馬)のエンブレムや関連するすべてのロゴ、車両の独自デザインはフェラーリS.p.Aの所有物です。
フェラーリ車のボディデザインは、デザイン、商標、トレードドレス規制(知的財産の一形態)のもとでフェラーリS.p.A.の所有物として保護されています。
トミカ「フェラーリモデル」は、メイチョングループ(マイスト&ブラーゴ)のライセンス下で生産されています。

■タカラトミーとフェラーリの版権について

トミカプレミアム06 テスタロッサ
トミカプレミアム06 テスタロッサ

 ポイントとなるのは最後の一文「トミカ「フェラーリモデル」は、メイチョングループ(マイスト&ブラーゴ)のライセンス下で生産されています。」というところだ。

 「マイスト」も「ブラーゴ」も有名なブランドで、マイストはアメリカ、ブラーゴはイタリアのブランドである。

 いずれもダイキャスト製のリーズナブルなミニカーを製造している。コストコのおもちゃ売り場を訪れたことがある人なら、一度は目にしたことがあるだろう。何層にもなってずらっと並んでいる18分の1スケールのミニカーが「マイスト」ブランドのミニカーだ。

 そして「M.C.G」とは、香港に本社がある「メイチョングループ」(美昌集団)でマイスト&ブラーゴを傘下に抱える玩具メーカーである。

 同社は2015年よりフェラーリの模型を製造するライセンスを所有しており、さらにその権利を他社に販売する契約もフェラーリ社と結んでいる。

 それゆえに、タカラトミーがメイチョングループの許可を得てフェラーリのデザインやロゴを使ったミニカーを製造できるようになり、2018年8月、ついに26年の時を経てトミカのフェラーリが復活したのである。

 このときに発売されたフェラーリの名前を冠したトミカは、「ラフェラーリ」と「テスタロッサ」の2車種6仕様。その後も続々とトミカにフェラーリモデルが追加されていった。

 赤箱の標準モデル以外にも、少し高級な「トミカプレミアム」や、5000円~6000円台の高級バージョンである『トミカリミテッド ヴィンテージ(TLV)』や『トミカリミテッド ヴィンテージネオ(TLVN)』(製造はいずれもトミーテック)に続々と新車が追加されている。

 ちなみに、「TLV」とはトミカが誕生する1970年以前のクルマ、「TLVN」は1970年以降でこれまでトミカ化されていなかったクルマを中心としたラインナップとなっている。

ところでフェラーリの版権だが、実は2019年のある時期までは「日本限定」だったそう。長年トミカを扱ってきたアジアの業者は明かす。

「アジアの国々では当初、フェラーリモデルのトミカは販売されなかったので世界中から日本にバイヤーが殺到し、ものすごいプレミア価格になっていました。ヤフオクなどでも海外の業者が日本でしか発売されていないトミカのフェラーリに殺到しましたね。2019年のある時期からアジアでも版権が解禁となったのでフェラーリバブルは終焉を迎えました」

次ページは : ■これまでに発売されたフェラーリトミカにはどんなものがある?

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