■MEBプラットフォームはすべてリアドラムブレーキ採用!?
テストルートは一般道路、アウトバーンそしてワインディングと変化に富んだコース。
スタートに際して、「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「インディビジュアル」、そして「トラクション」の5つのドライブプロファイルのなかから「コンフォート」を選択し、さらにメータークラスターの横にあるセレクトスイッチをDレンジにセットしてスタートする。
試乗車には21インチタイヤとオプションの15mm低められたスポーツサスペンションとプログレシブ・ステアリングシステムが装備される。
一般道路、特に低速ではややゴツゴツとした振動が伝わってきたが、アウトバーンに乗って80km/hを超えたあたりからフラットで快適な乗り心地に変わった。
ドライブフィールは以前にテストした204馬力のスタンダードよりも明らかにパワフルで、どのスピードでも力強いダッシュ力を見せる。一方、Bポジションではリアモーターで回生が頻繁に行われ、最大で0.3Gまでの減速加速度によってワンペダルドライブも可能だ。
この結果、アウトバーンでの走行でもフロント358mm径のディスクブレーキとリアのドラムブレーキは役不足な感じはない。ちなみにVWのEV専用プラットフォームMEBではすべてドラムブレーキがスタンダード装備となる。
一見ローテクなブレーキシステムが採用された理由は、耐久性が高くメインテナンスフリー、EVではブレーキの負荷が少ない、そしてもちろんコストなどが上げられる。
■ドイツ本国での価格は約665万円〜。日本では導入予定なし
アウトバーンを下りてアップダウンの多い山間路へ入り、「スポーツ」のドライブモードを選択すると敏捷さは一層増して、全高1.6mのSUVとは思えないロールの少ない安定した姿勢でコーナーを抜けて行く。
通常、内燃エンジン搭載モデルの4WDへの移行は、低ミュー路面でのトラクション、あるいはコーナーでの姿勢制御が必要な際に明らかに感じられるが、このID.4 GTXではその作動が数マイクロセカンド単位で行われるために、非常にスムースでそれがいつだったかわからない。
メカ(機械)とエレキ(電気)の差をまざまざと感じた試乗だった。。そして、ID.4 GTXはカタログの数字以上のスポーツ性能と同時に、ロングドライブに不可欠な快適性をもった「GTI」のようなEVスポーツであった。
価格はドイツでベースモデルが50,415ユーロ(約665万円)で間もなく発売が開始される。GTXはヨーロッパ向けで、現時点での日本向け輸出は残念ながら計画されていない。
■ID.4 GTXスペック(これまでに正式発表されている数値)
・システム出力:220kW/299ps
・変速機:1速
・最高速度:180km/h
・0-100km/h:6.2秒
・0-60km/h :3.2秒
・電池容量:77kWh(ネット)
・航続距離:480㎞
・全長×全幅×全高:4582×1852mm×1616mm
・ホイールベース:2765mm
・トランク容量:543~1575L
・空力特性(Cd値):0.29
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