■盗難されたランドクルーザーの多くは海外へ
ところで、日本で盗まれたランドクルーザーはどこに行くのか? それを知るにはまず、日本と海外の車両盗難事情から考えるとわかりやすい。
日本の100倍以上! 年間70万台以上が盗まれるアメリカでの盗難車ランキングで上位に入ってくるのは、フォードFシリーズやシボレー、ダッジなどのフルサイズピックアップにシビックやカローラ、アコード、カムリなどの日本車だ。
これはこの10年くらいのアメリカにおける新車販売台数ランキング上位の車種とほぼ重なっている。つまり、売れているクルマと同様の車種が盗まれやすいことになる。ランドクルーザーは世界でも広く人気がある車種だが、実はアメリカでの販売台数はそれほどでもない。
また、全般的に良く盗まれている車両の年式は古め(2000年前後)が主流。メーカーの純正部品供給が終わり始める時期とも重なる。
日本車の旧車を主に扱うアメリカの大手自動車メディアである「ジャパニーズノスタルジックカー」を主宰するBen Hsu氏からも興味深い話を聞いた。
ベンさん自身もランドクルーザー60 (1986)と同80(1997)の2台を大切に所有している。
「アメリカでは1990年代にランドクルーザーやモンテロ(三菱パジェロ)の盗難が大きな問題となりましたが、今は違います。ランドクルーザーの盗難が少ないのは、アメリカでは盗難車を国内でローカルに販売する機会がたくさんあるからだと思います。
ランドクルーザーやレクサスLXは人気車種ではありません。そのため、米国の窃盗団は、ホンダ・シビックやアコードなど、より一般的で人気のあるモデルを狙います。
日本ではおそらく盗難車を国内で売ることは難しいのでしょう。盗まれた多くのランドクルーザーは部品として海外に密輸されている可能性が高いと思われます」とのこと。
つまり、日本での盗難は「海外需要」、アメリカでの盗難は「国内需要」に対応した盗まれ方をしているようだ。
■ランクルプラドが解体され海外に持ち出される前に発覚!
最後に2017年8月に自動車盗難情報局に登録されたランドクルーザープラドが、解体され海外に持ち出される直前で発覚した時の写真を紹介しておこう。
こちらが自動車盗難情報局に登録された時の画像だ。
以下は盗まれて約5ヵ月後、海外に密輸される直前で発見された時の状態だ。バラバラにされて部品として密輸されるケースが多いわけだがクルマのこのような姿を見るのは本当につらい。
純正セキュリティだけに頼らず、鍵を玄関にむき出しで置かない(リレーアタック対策)ことや、しっかりした社外セキュリティで護るしか今のところ対策はなさそうだ。
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