■ロータリーエンジンはどうなる?
そうなるとマツダしか開発できないロータリーエンジンも気になる。もともとロータリーエンジンは、軽量でコンパクトなスポーツ指向のパワーユニットとされた。
1970年代から1990年頃までは、数多くのマツダ車にターボを含めてロータリーエンジンが搭載されたが、その後は燃費の悪さなどが災いして登録台数と車種数を減らした。
2012年にRX-8の生産を終えた後は、10年近くにわたって、ロータリーエンジン搭載車が市販されていない。それでもマツダによると「ロータリーエンジンの開発はマツダの使命だから、常に進めている」とのことだ。
直近では、電気自動車のMX-30・EVモデルに、発電用エンジンとして小排気量のロータリーを搭載することが予定されている。いわゆるレンジエクステンダーで、日産のe-POWERのように、エンジンが発電機を作動させるハイブリッドではない。
リチウムイオン電池の電気を使い切った時、エンジンの作動で発電を行い、走行距離を伸ばす。充電設備のある場所まで移動を可能にするものだ。
MX-30・EVモデルのフロントフードを開くと、モーターが収まっているが、右側には広い空間が空いている。そこにロータリーエンジンが収まると思われる。
しかしMX-30がレンジエクステンダーを中止する趣旨の報道も見られる。出力がさらに大きなロータリーエンジンを搭載して、e-POWERのように発電を積極的に行い、プラグインハイブリッドも構成するものだ。
6月25日の定時株主総会では、「ロータリーエンジンはどうなりますか?」という、株主がマツダへ事前質問したが、その回答という形で、ロータリーエンジンの開発についてこう述べている。
「当社では、地球上の地域差、車両特性、燃料特性、エネルギーミックス等の様々な事情を踏まえた適材適所 の対応が可能となるマルチソリューションの検討を進めています。
ロータリーエンジン(RE)については小型軽量、かつ静粛性に優れるという特性を活かし、REを発電に使うマルチ電動化技術を2022年に導入する予定です。
REを発電機として使用する電動車を実用化しておくことで、水素や圧縮天然ガス(CNG)のインフラの整ったところでの活用の可能性があると考えています。
特に、水素については将来のエネルギー源の1つと考えており、またREと水素の燃焼の相性が良いことはすでに実証済みですのでエネルギー全体でWell-to-wheelベースのCO2削減を考慮しながら、さらなる検討を進めてまいります」。
以上のように今のマツダでは、ロータリーエンジンから後輪駆動のプラットフォームまで、多種多様なメカニズムが話題になる。
最近のマツダ車は、どれも同じように見えて興味を示さないユーザーも少なくないが、今後は多彩な商品が揃いそうだ。
特に後輪駆動の上質な運転感覚に期待したい。以前、マツダの開発者と話をした時、「レンジエクステンダーがロータリーエンジンのすべてではない」と述べていた。
コンパクトで吹き上がりの良いロータリーエンジンに、ハイブリッドを装着して、後輪駆動のプラットフォームに組み合わせる。このようなスポーツモデルが登場するように祈りたい……。
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