トールボーイ旋風起こした「初代シティ」
ホンダの末っ子モデルだが、強烈な個性を放ったのが1981年秋に誕生したシティだ。車の個性が強いだけでなく、厳ついマッドネスの男7人がムカデダンスをするCMも話題をさらった。
初代シティは、平均年齢27歳の若いエンジニアたちによって開発された3ドアのスモールカー。
パワートレーンやサスペンションなどのメカニズムを可能な限り小さくし、「トールボーイ」のキャッチフレーズから分かるように背を高くして広いキャビンスペースを稼ぎ出した。
エンジンは1.2Lの直列4気筒SOHCだ。副燃焼室を持つCVCCの第2世代で、低燃費に徹底してこだわった。平凡なスペックだが、軽量ボディを生かして軽やかな走りを披露した。
1982年9月にシティの高性能バージョン、「ターボ」を送り込んでいる。パワフルで鋭い加速を見せたが、背が高いためスリリングな挙動になることも少なくなかった。
1983年11月に進化版の「ターボII」を投入する。ブリスターフェンダーやエアロパーツを採用して華やかさを増し、専用のデジタルメーターも注目を集めた。
メカニズムも刺激的だ。インタークーラーを追加して過給圧を高めたターボIIは痛快な加速を見せ、ハンドリングも落ち着きを増している。
また、ピニンファリーナが関わったカブリオレやラゲッジルームに搭載できるモトコンポ、ハイパーシフトなど、話題に事欠かなかった。
21世紀のコンパクト車を象徴する「初代フィット」
全長は3.8mとコンパクトだが、兄貴分のシビックを凌ぐ広くて快適なキャビンを実現したのがフィットだ。
ロゴに代わるスモールカーとして2001年にデビューし、瞬く間にスモールカーのベンチマークとなっている。
広いキャビンを可能にした秘密は、独創的なセンタータンクレイアウトだ。前席の下に燃料タンクを配置し、フラットで広いキャビンを実現した。
また、後席もアレンジ機構を工夫し、畳めば広大なラゲッジスペースが出現。小さいが、ワゴンのように使えるのがフィットの魅力だ。
エンジンは1.3L直列4気筒のi-DSI(編注:1気筒あたり2本の点火プラグを搭載した高効率エンジン)でスタート。後に余裕ある1.5LのVTECエンジンも追加している。
どちらのエンジンも軽やかに回り、実用燃費もいい。ハンドリングも軽快だ。乗り味はちょっと硬めだったが、スポーティさがわかりやすかった。
パッケージングの革命児だったフィットは発売されるや爆発的なヒットを飛ばし、ホンダを代表するファミリーカーに成長している。あまりにも売れすぎたため、シビックを日本市場から駆逐してしまった。
スーパーハイト軽の先駆「初代タント」
ミラとムーヴに続く、ダイハツ第3の軽自動車として2003年に送り出されたのがタントだ。
ムーヴと似たコンセプトだし、ベースとなっているのもムーヴだが、全高をさらに高くして、さらに広いキャビンスペースを手に入れた。当時、軽自動車最長となった2400mmのホイールベースと相まってキャビンは広い。
室内長は2Lクラスのセダンより長く、室内高も身長120cmの子どもがラクラク動ける高さとした。
今につながるスーパーハイトワゴンのジャンルを生み出し、子育て世代のママたちを魅了したのがタントだ。
広いだけでなくチャイルドシートを装着しやすいし、乗降性も優れている。フロアも低く、フラットだから子どもだけでなくお年寄りにも優しい。ポケットやオーバーヘッドコンソールなど、収納スペースの多さも魅力になっていた。
ボディカラーは10色を用意し、途中で凛々しい顔立ちのカスタムを追加。これもクリーンヒットを飛ばし、カスタムブームの火付け役となった。
走りも背が高い割には安定している。穏やかな乗り味が女性ユーザーの好みに合っていた。エンジンは直列3気筒。NA(自然吸気)エンジンはそれなりの実力だが、ターボはパンチの効いた加速を見せた。
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