■ロードインデックスも重要な要素
2つ目のロードインデックスによる選び方です。『195/65R15 91H』の91がロードインデックスです。ロードインデックスはタイヤ1本が支えられる最大負荷能力を示す指数で、換算表によって荷重能力(kg)を見ることができます。
国産タイヤはJATMA(=ジャトマ・日本自動車タイヤ協会)規格による換算表を使います。輸入タイヤは欧州のETRO(エトルト)規格を使うのが一般的です。また最大負荷能力を高めたエクストラロード(レインフォースド)タイヤようにETRTOのエクストラロード規格も使われています。
例えば国産の195/65R15 91Hサイズの指定空気圧が240kPaだったとします。JATMAの換算表を参照すると、240kPa時の最大負荷能力は615kgになります。
205/50R17 89Vは空気圧を240kPa時580kgです。JATMAではそれ以上空気圧を上げてもロードインデックスは上がらない(という考え方)ので、ロードインデックス不足で装着不可となります。
215/45R17 91W XLはエクストラロードタイヤ(=レインフォースドタイヤ)なのでETRTOのXL規格対応表を参照にします。91で純正サイズと同じ615kgを支えるためには290kPaの空気圧が必要になります。
225/45R17 91WはJATMAサイズ指定タイヤで、通常より10kPa高い250kPaの空気圧設定なっています。空気圧を250kPaまで充填して最大負荷能力615kgとなります。
215/45R17サイズの通常のタイヤはロードインデックスが87くらいになるのですが、こんな具合に扁平率の高いタイヤからインチアップしたとき、エアボリュームの関係でどうしてもロードインデックスが足りないサイズが出てきてしまうのです。
そこでタイヤ構造を強化して最大内圧を290kPaにしたXLタイヤを設計することで負荷能力不足を補っているわけです。
■転がり抵抗低減は燃費向上に繋がる
純粋にインチアップだけなら話は単純なのですが、最近では転がり抵抗低減による燃費向上も重要な案件になっています。
プリウスを参考に考えてみます。Aプレミアムに標準設定の195/65R15 91Hの空気圧は前250KPa/後ろ240kPaです。
この空気圧での最大負荷能力が615kg/輪となっています。プリウスは車両総重量で1645kg(Aプレミアム・FF)です。前後重量配分が6対4としても987kgです。1輪約493kgですからだいぶ余裕があるわけです。負荷能力だけで考えたら前後180kPaでも十分な計算です。
ではなぜ空気圧を高くして設定しているのでしょうか。プリウスの燃費を見ると、195/65R15 91H装着車がWLTCモード平均で30.8km/L。215/45R17 87Wで27.2km/Lです。ちなみに17インチの空気圧は前220kPa/後210kPaとなっています。
考えられるのは、やはり燃費です。それと少し操縦性の前後バランスも配慮されているのかもしれません。
自動車メーカーでは、タイヤの空気圧をどう決めているのかというと、タイヤの空気圧設定に厳密に決まりはありません。最終的にテストドライバー(エンジニア?)が、乗り心地や静粛性、操縦性、燃費などのバランスを考えながら決めているようです。
最近では省燃費性能の比重が高くなっているせいか、燃費をよくするために空気圧を高めに設定する例が多くみられます。
見方を変えると、指定空気圧は絶対ではないということです。空気圧を大幅に下げるには危険なのでお薦めしませんが、ロードインデックスを頭の片隅に置きながら、調整幅としては±10~20Kpaくらいを目安に、自分の好みの乗り心地や、操縦性を試してみるのも面白いと思います。
とくに乗り心地は指定空気圧から+10kPaくらいでも大きく変わることがあります。
また操縦性も基本的には前の空気圧を高めると応答がシャープな傾向になり、低くすると応答が穏やかな傾向になります。ポイントは前後をいっぺんに変えず、前だけとか後だけ調整してみるといいと思います。あんがい面白いバランスが見つかったりします。
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