車が最も“旬”で注目を浴びるのは、多くの場合発売直後。ヒット車や実力のある車は、発売時から高く評価されているケースがほとんどだ。ところが、逆に発売当初はあまり評価されていなかったにも関わらず、後に再評価される車もある。
新しいメカニズムで販売を大きく伸ばしたり、取り巻く環境の変化で車の価値が見直されるなど、後になって再評価された車は意外なほど多い。
文:松田秀士/写真:編集部
最後の小型FRハッチバックとして希少さ増すBMW 1シリーズ
BMW 1シリーズが日本に導入されたのは2004年から。当時はプレミアムコンパクトとして人気を呼んだ。
1シリーズは、他社のCセグメントコンパクトがスペースユーティリティーを優先してFF(前輪駆動)を採用しているのに対してFR(後輪駆動)を採用している。その理由は前後重量配分を50:50にするためだ。
この数値はエンジンが縦置きでないと達成できない。そのためにFRなのだ。BMWの掲げる“駆け抜ける歓び”という世界共通のキャッチに、コンパクトカーといえどもハンドリングを大切にしたモデル。FRを貫いていることで、ある意味このクラスの唯我独尊モデル。
現行モデルは2代目で2011年にフルモデルチェンジ。2016年には直4、2Lのクリーンディーゼルを搭載する118dが導入されている。
導入当初はVW ゴルフなど、他社のFFモデルと比較して室内も荷室も狭く評価が低かったのだが、マイナーチェンジやフルモデルチェンジ、さらには新規パワートレーンの導入などにより経済性を含めた車質が進化。
コンパクトなFRハッチバックとして希少度がアップしたことに加えて、まもなくフルモデルチェンジによってついにFF化が噂されている。
その証拠に中国では既に1シリーズのFFモデルが生産販売されている。筆者自身も昨年中国で試乗した。
つまり、もうこの贅沢な造りの1シリーズはなくなってしまう、ということもあり再評価される今日この頃である。
e-POWERで登録車首位奪還したノート
日産 ノートは、このクラスで抜群の販売数を記録したホンダ フィットを徹底的に研究して作られた車。ある意味あと出しじゃんけん。それゆえ走りも室内もとてもバランスのとれたモデルだ。
だが、何故か当初は現在ほどは売れなかった。フィットを研究し尽くしたがゆえに、良く出来上がっていたのだが魅力がなかったのだ。と、筆者は分析する。
このコンパクトクラスに於いても、なにかグッとくる「引き」がなくては売れない、ということを実証したモデルではないだろうか?
しかし、e-POWERの搭載で「華」ができた。リーフの販売不振で余ったパワートレーン(電動部分)を流用し、エンジンを発電に使うという“変則EV”に化けたのだ。
その走りはこれまでに誰も経験したことのないような快感。燃費が良いくせに、全くストレスを感じさせない力強い加速。
もう一つ、eペダルというより強い回生によって減速を行うシステムを採用し、アクセルペダルのみで加減速、使い方によっては停止まで行う。
ブレーキをそれほど必要とせず、逆に回生するので燃費も良くなり一石二鳥。ペダルの踏み違い危険度も低下する。
ノートはe-POWERの搭載で大きな華を得て、抜群の売り上げを記録し続けている。
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