日本で使うのにちょうどいい!! 今も昔も大人気「リッターカー」偉大な名車列伝

日本で使うのにちょうどいい!! 今も昔も大人気「リッターカー」偉大な名車列伝

 排気量がおよそ1000ccのエンジンを搭載した小型乗用車として、1980年代に人気を博した“リッターカー”。しかし、それも今となっては昔のこと、軽自動車の台頭でリッターカーという言葉が死語と化してしまった感があるのは否めない……。しかし、軽自動車以上、普通乗用車未満の使い勝手&取り回しの良さや日本の道路事情にちょうどいいサイズ感はやっぱり魅力! ここでは、今一度リッターカーの魅力を再考する。

文/FK 写真/トヨタ自動車、ダイハツ、スバル、FavCars.com

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リッターカーの火は消えず! 人気は今なお健在

 現在、新車で買えるリッターカーは極めて少ないのが実情だ。国産車ではスズキのクロスビー、スバルのジャスティ、ダイハツのトール、ブーン、ロッキー、トヨタのパッソ、ヤリス、ライズ、ルーミーの9車種と両手で数えられるほど。輸入車をプラスしても、排気量約900ccのエンジンを搭載するフィアット・500ツインエアとルノー・トゥインゴが加わる程度。とはいえ、車種こそ少ないもののハッチバック、ハイトワゴン、SUVとカテゴリーはバラエティに富み、選択肢がそろっていることも事実。

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
ダイハツのロッキーはトヨタのライズの兄弟車。リッターカーのSUVは貴重な存在といえる。ダイハツにとっては、コンパクトSUVセグメントへの再挑戦というかたちになる
絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
オートハイビーム、衝突回避支援システム、コーナーセンサーなどの安全装備も標準装備されるなど、コスパの高さ抜群のパッソも奮闘中

 また、2019年11月に発売されたトヨタのライズが発売から1カ月で約3万2000台を受注し、月販目標(4100台)の約8倍という大ヒットを記録したことは記憶に新しいところ。最新安全技術の採用もさることながら、広い荷室や室内空間と多彩なユーティリティ収納スペースを確保しつつも全長4m以下の5ナンバーサイズというコンパクトさが好調なセールスにつながっている。

 発売から1年半以上が経過しているライズだが、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が公開している2021年1~6月の月別統計データ(乗用車ブランド通称名別順位)では6位(4万7965台)にランクしており、高い人気を維持している。

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
絶好調のライズ。ロッキーとともに、コンパクトSUVセグメントを席巻中だ

 ちなみに、同データではヤリスが11万9112台で1位、ルーミーが7万7492台で2位にランクイン。ヤリスに関しては1.5リッターモデルやヤリスクロスを含めた数値ではあるが、今なおリッターカーの高い人気がうかがえる結果であることは間違いない。

ダイハツ シャレード デ・トマソ ターボ(1984年1月発売)

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
デ・トマソの名を配した国産車ということで、イタ車好きからも注目された。おとなしい見た目からは想像できないパンチのある走りをみせた

 今や世界的なスタンダードになりつつある直列3気筒エンジンをデビュー当時から搭載していた“リッターカーの元祖”がダイハツのシャレード。1977年に世界初の4サイクル直列3気筒1000ccのCB-10型エンジンを採用して以来、常にシーンをリードしてきたダイハツが1984年1月に発売したシャレード デ・トマソ ターボは、スーパーカー世代にはパンテーラでおなじみのイタリアのデ・トマソ社とのコラボレーションで誕生した1台。

 最高出力80ps&最大トルク12.0kgmを発生するターボエンジンと車両重量690kgという超軽量な車体との組み合わせが実現した軽快な走りに加え、“ミラノの、匂いだ”という謳い文句に相応しいMOMO社製ステアリング、カンパニョーロ製マグネシウムホイール、専用バケットシートを標準装備するスポーツテイスト満載のスペックはクルマ好きの心を掴んだ。

スバル ジャスティ 3DOOR 4WD RS(1984年2月発売)

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
リッターカーブームの真っただ中に登場した初代ジャスティ。CVT搭載のコンパクトカーの先駆けともいえる存在だ

 リッターカーならではの新しい走りと機能に、スバルならではの4WDテクノロジーを組み合わせたまったく新しいモデルとして発売されたスバルのジャスティ。細心の静粛設計が行われた直列3気筒OHCエンジンは最高出力63ps&最大トルク8.5kgmとスペック的にはやや控えめながら、0.38の空気抵抗係数(CD値)を実現したスポーティなスタイリングや当時のリッターカーでは唯一となるストラットタイプ4輪独立懸架サスペンションの採用など“火の玉BOY”のキャッチコピーに相応しいスペックが与えられた。

 1987年のマイナーチェンジでは、特殊なスチールベルトとプーリーによるシンプルなメカニズムで無段変速を実現した世界初の電子制御電磁クラッチ式無段変速機(ECVT)を搭載。4WDとECVTというスバルのコアテクノロジーが惜しみなく投入されたリッターカーだった。

スズキ カルタスターボ(1984年5月発売)

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
リッターカーブームを牽引したリッターカーの代表選手。走りも燃費も良しと、コスパの高いモデルとして人気を呼んだ

 低燃費のリッターカーとして世界各国で好評を得た1983年デビューのスズキ カルタスに、最高出力80ps&最大トルク12.0kgmを発生する直列3気筒ターボエンジンを搭載したターボモデルが登場したのは1984年5月のこと。

 高出力ながらも10モード20.0km/Lという低燃費性能の実現、スポーティな走りを支える強化された足回り、空気抵抗係数(CD値)=0.37を達成したエアロフォルム、バケットシートや水平指針式メーターの採用などでスポーティさをアピールした。

 それ以上に強烈なインパクトを残したのは、石原軍団の看板俳優として抜群の人気を誇っていた舘ひろしさんが出演したテレビCMの決めセリフ、「オレ・タチ、カルタス」。27項目にものぼるスペシャルチューンを施した、舘さんの名を冠した特別仕様車の“タチ・ウェイブ”も発売され、大きな話題を呼んだ。

日産自動車 マーチ ターボ(1985年2月発売)

絶滅危惧の危機に瀕してはいるけれど……やっぱり偉大なリッターカー
ジウジアーロデザインということで話題を呼んだ名車。走りとデザインの良さを両立させたクルマとして、当時の若者の心を鷲掴みにした!

 イタルデザインの創設者であるイタリアの有名なカーデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた日産のマーチは1982年10月に登場。当時、絶大な人気を誇った近藤真彦さんがイメージキャラクターを務めたことも追い風となって大ヒットを記録。そんな鮮烈なデビューから2年4カ月後の1985年2月、フロントバンパーに大型ハロゲンフォグランプを埋め込んだ攻撃的なビジュアルで登場したのがマーチ ターボだった。

 最高出力85ps&最大トルク12.0kgmを発生した日本初の4シリンダー1000ccターボエンジンに、これまた日本初となる1000ccターボ+オートマティックトランスミッションを採用。デジタルの速度計とアナログの回転計を融合した未来感満点のハイブリッドメーターや、センターにエンジン性能曲線を配したφ370mmの3本スポークステアリングは今見ても新鮮!

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