「ハチロク」の陰と陽 なぜレビンはトレノの陰に隠れたのか

レビンにあってトレノにない特徴とは?

同じ“ハチロク”なのに!? レビンはなぜトレノの陰の存在となってしまったのか?
AE86カローラレビン。写真ではエアロダイナミックグリルが閉じられた状態で、作動時には正面の「LEVIN」ロゴのあるプレートが開いて空気を取り入れる

 トレノの特徴はリトラクタブルライトにあったが、そうした方式を持たないレビン独自の装備として、上級グレードのGT APEXに「エアロダイナミックグリル」が与えられていた。エンジンの水温を感知し、温度が上昇するとグリルがオープン状態となって冷却風を取り入れるもので、通常走行ではグリルを閉じて空力効率を高め、必要に応じてグリルを開くこのシステムは、世界で初めてAE86レビンに装備された。

 通常タイプのヘッドライトを装備するAE86レビンは、スタイル面でもまとまりがよく、新車人気はトレノを上回っていたというのもうなずける。

 1987年のAE91/92型への移行でも、レビンはノーマル、トレノはリトラクタブルライトというスタイルは継承されるが、1991年登場のAE100/101型レビン&トレノでは、リトラクタブルライトは廃止されている。

まだまだ収まらないAE86の中古車人気、今後の動向はいかに?

同じ“ハチロク”なのに!? レビンはなぜトレノの陰の存在となってしまったのか?
こちらは2ドアクーペスタイルのAE86レビン。3ドアモデルよりも実用性を重視した仕様であり、オプション設定ではパワーステアリングも用意されていた

 2021年には登場から38年となるAE86。依然中古車市場での人気を維持しているが、状態の良い車体が少なくなってきているのは事実。特に人気の高いトレノにその傾向が強く、良コンディションの車体は高額で取り引きされている。

 その価格は200~300万円台に達するなど、年式や車格を考慮すると驚異的ともいえる。なにしろ、新車販売時の価格はGTで130万円、GT APEXでも160万円だったのである。

 そこで気になるレビンの動向だが、こちらは新車の販売台数が多かったこともあって、トレノに比べると相場価格は若干低めだ。とはいえ、200万円台の車体も少なくはない。このAE86人気は今後も続いていくことが予想される。

 現在ではトレノに対する影的な存在となっているレビンだが、その車名は英語で「稲妻」を意味し、トレノの「雷鳴(スペイン語)」と並び立つ存在であるのは間違いない。80年代の世界を駆け抜け、今なお注目され続ける初代“ハチロク”は、永遠のアイドルであり続けるだろう。

【画像ギャラリー】兄弟車の人気に格差 「ハチロク」の陰と陽 なぜレビンはトレノの陰に隠れたのか

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