2021年8月3日、ホンダは「NSXの最終仕様を公開する」と発表。2016年に発表された現行型NSXは、2022年いっぱいで生産終了するという。ホンダはこれに先立ってレジェンド、クラリティ、オデッセイの国内販売終了を全国の販売店へ通達。S660の生産終了も公表している。
「グローバルで生産、販売体制を見直している」というホンダだが、あまりに急だし、あまりに場当たり的な判断に見えてしまう。ホンダはいったい何を考えてこのような判断をくだしているのか。初代NSXオーナーでもあった国沢光宏氏に伺った。
文/国沢光宏
写真/池之平昌信、奥隅圭之、ベストカーWeb編集部、HONDA
■初代NSXは試作車の段階で購入決定したのに
当たり前かもしれないけれど、ホンダがNSXの生産を中止するというニュース、ポジティブな報道や反響になっていない。むしろ2000人の早期退社を募集するという情報と相まって「ホンダどうした?」みたいな流れになっている。初代NSXの試作車を見た瞬間に購入を決めた私からすれば悲しいというより情けなく思う。なぜか?
現行NSX、スペックやデザインは「いいね!」と感じたものの、実車を見て&乗ったら激しく失望しまくったからだ。以下つらつらと書いてみたい。
まずクオリティ。ドライビングシートに座ってみると、フェラーリで感じるような繊細さを全く持っていない。フェラーリ、インテリアからして鋭いナイフで削ったような迫力や美しさを持つ。
NSXときたら量産車と同じくノンビリしている。スイッチやウインカー、セレクトレバーなどもホンダの乗用車用をそのまんま流用。車内から見えるボンネットの後端だって美しくない。同様に車内から見えるドアミラーだってボッテリしてます。ドライビングシートに座ると、車高を低くしたシビックのような雰囲気。質感はアメ車だ。
仕上げの悪さについちゃ指摘しきれないほど。トランク開けて床面を見たら、軽自動車のような安っぽさの上、排気系の熱がそのまんま伝わっているらしくチンチンに熱くなってる。使わないからいいでしょ、と言われたが、こんなトコロを手抜きしたら芸術品とは言えまい。一流の陶工なら焼き上がった作品を見てガチャンと壊したくなるレベル。
これらのダメさ具合、おそらくテッドさん(テッド・クラウス氏)というアメリカ人がLPL(開発責任者)を担当し、アメリカで開発されたためだと思う。仕上がりは1000万円級の先代コルベット(アメリカだと6万ドル=660万円)といい勝負。とうていランボルギーニやマクラーレンも買える2500万円前後の欧州車に届かない。私は欲しいとすら思えなかったほど。
コメント
コメントの使い方ホンダはプロジェクト式なので、一貫性が無い。社長も交代早く、スーパーカーは無理、覚悟が入らないので。チーム変わるたび若い素人レベルにリセットしてしまう。残念