■閑話休題。多くの初代オーナーを魅了した現行ロードスターのアンベール
現行マツダロードスターがデビューしたのは2014年9月4日、場所は千葉県浦安市にある舞浜アンフィシアターだった。筆者はメディア側(取材)ではなくいちクルマ好きとして会場にいた。
元初代ロードスターオーナーとしては、是が非でもその瞬間に立ち会ってみたいという想いからだ。
いよいよ新型ロードスターがアンベールの瞬間を迎え、会場の視線がステージに集まり、否応なしに緊張感が高まるのが分かる。
やがて音楽が最高潮に達し、ターンテーブルがゆっくりと回転しながら真紅の新型ロードスターが姿を現した。次の瞬間、言葉にならないどよめきと、観客席から自然と湧きあがった拍手。
日本中から、もしかしたら海外から訪れた人がいたかもしれない、自他ともに認めるロードスターファンたちが新型ロードスターの存在に魅了された瞬間だった。もちろん筆者もその1人だ。
偉大なる初代ロードスター、いわゆるユーノスロードスターに魅せられた(現在も魅せられている)人は世界中にいるだろう。
メーカーとしてもありがたい話だろうが、同時にいつかは超えなければならないあまりにも高い壁であることは容易に想像がつく。
開発陣にとっても、自分たちとしては自信作であったとしても、最終的なジャッジするのはユーザーだ。会場の反応を見て手応えをつかんだとともに、安堵したに違いない。
そして現在。街中で頻繁に現行ロードスターを見かけるようになった。現行ロードスターが魅力的であることの証明であるとともに、偉大なる初代モデルから途切れることなく進化を続けてきたからこそ目にすることができる光景なのかもしれない(その分、次期モデルが大変そうだ)。
■結論:制約を乗り越え「偉大すぎる初代モデルを乗り越えてやる」という気概がユーザーの心を掴む?
映画やドラマなどのエンターテインメントをはじめとして、初代(あるいはパート1)が大ヒットすると続編が作られることが多いのが世の常だ。
大ヒット作の続編であればストーリーのつづきを作れば安泰・・・かと思いきや、そう簡単にコトは済まない。
良い意味で期待を裏切らなければならないだろうし、その「外し具合」を見誤るとクルマ好きだけでなく一般のユーザーからもそっぽを向かれてしまう。
柳の下のどじょうを狙いにいくのもそれなりのリスクが伴うのだ。
それこそ、人気YouTuberともなれば動画再生回数が自分の収入に直結することを意味する。昨日より今日、今日より明日と、常に面白い映像やコンテンツを提供しつづけなければならない。手抜きをすれば一瞬で視聴者に見破られる。
一見すると華やかに見える世界だが、ライバルは世界中にいる。決して楽な世界でなことは容易に想像ができるはずだ。
初代が偉大すぎると、後継モデルはその呪縛からは逃れられない。それは事実だと思う。
抗うことなく、かといって守りに入るわけでもない。
さまざまな制約や条件があるなかで、偉大なる初代モデルを何とかして超えてやろうという作り手の「新たな提案」があることを、ユーザー側も無意識に待ち望み、期待しているのかもしれない。
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