■「無料化は無理」な雰囲気の中、「無料化できる!」と言っちゃう根拠とは
しかし、今だからこそ私は言おう。「高速道路は無料化できる!」と。
もちろん、すべての路線を無料化したら、一部の路線で大変な渋滞が発生し、高速道路の意味をなさなくなる。だから全部は無料にしないほうがいい(笑)。老朽化対策の予算も必要なので、完全無料化はまったく現実的ではない。
しかし、かなりの路線を無料化することはできる!
いったいどうやって?
高速道路の債務を、国債で肩代わりするのである。
現在徴収されている高速料金は、その約7割が建設費の返済に充てられている。借金の残高は約30兆円。05年の高速道路民営化の時点では約40兆円だったので、16年間で10兆円返済することができた。民営化による合理化の成果である。
この借金の残高約30兆円を、一括して国債で返済してしまえばいい。
かつてなら、財務省を中心に大反対が起きただろうが、新型コロナをきっかけに常識は変わった。コロナ対策で国債を100兆円増発しても、国家経済は破綻もせず平穏無事だ。なら、高速道路に30兆円ブチ込んでもいいのではないか!?
これが実現できれば、高速道路の料金は約7割値下げできる。維持管理するだけなら、現在の3割の料金収入で可能なのだ。
現在の枠組みでは、2065年で料金の徴収が終了し、以後無料化される建前だが、その建前も廃止して、永遠に「現在の3割の料金を取る」とすれば、老朽化対策の予算も永遠に確保できることになる。
正確には、老朽化対策に必要な予算は年々徐々に増加するので、そこは精査が必要だが、3割を3割5分に増やせばオッケー、くらいのものである。
また、7割値下げが可能だからと言って、一律7割値下げするのは愚の骨頂。無料化を公約していた民主党政権ですら気付いたように、混雑が激しい区間では、現状の料金水準を維持すべきだ。その一方で、交通量の少ない路線はすべて無料化できる。そういったいったメリハリを付ければ、渋滞の増加を抑えることができる。
■「国債で高速道路の借金を肩代わり」は無謀な案ではない・・のか?
安倍内閣は昨年、新型コロナ対策として、全国民に一律10万円を配った。総予算は13兆円。すべて国債の増発で賄われた。しかし、その経済効果はほとんどゼロに近かったと言われている。
それに比べたら、高速道路の借金30兆円を国債で肩代わりして、多くの路線を無料化したほうが、経済効果ははるかに大きいのではないか? 東京湾アクアラインは、料金を5分の1に下げたことで、交通量は5倍になり、木更津市は人口も増加。経済的に潤った。同じようなことが狙える地域は、決して少なくない。
これは決して、それほど無謀な案ではない。現在ある借金を、別の借金に借り替えるだけなのだ。国債は、通貨発行権を持つ国の借金ゆえに、元金を返す必要はなく、金利だけ返済していればいい。その金利は現在、10年もので0.1%程度。タダみたいなものだ。
これを実行すると、交通量が増加して、CO2の排出量が増えるという新たな問題も発生するが、ハイブリッドやEVをより優遇することで、クルマの電動化推進策とセットにすることもできる。一石二鳥である。
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