その名も「サイボーグ」 ターボのイメージを牽引した三菱ミラージュの実力と功績

その名も「サイボーグ」 ターボのイメージを牽引した三菱ミラージュの実力と功績

 初代「ミラージュ」が登場したのは、1978年のこと。一時期途絶えながらも、コンパクトハッチバックとして、いまも活躍するミラージュだが、カテゴリーを牽引するヤリスやフィットと比べるとやや地味な存在。しかし、かつてのミラージュには、いまのミラージュのイメージからは想像もできない超刺激的なグレードが存在した。

 「サイボーグ」というSFチックな名前をもったそのグレードは、名前から受ける衝撃のとおり、強烈な走りをもち、「ホットハッチ」を語るのに欠かせない存在だった。

文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:MITSUBISHI、TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUZUKI、MAZDA、DAIHATSU、ベストカー編集部

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豪快なパワーをねじ伏せて走るのが楽しかった

 初代、そして2代目は、直線的ですっきりとシンプルなデザインでモダンカジュアル路線だったミラージュだが、1987年に登場した3代目で大きく路線を変更。同時期に登場した6代目ギャランのエクステリアと共通性の感じられる、マッシブでスポーティなフォルムで登場した。

 この3代目ミラージュで初めて設定されたのが、テンロクホットハッチ(排気量1.6Lエンジンのスポーティなハッチバック)の「サイボーグ」だ。

 サイボーグに搭載されたエンジンは1.6L 直4DOHCのガソリンNAとターボで、ターボの最高出力は145ps、最大トルクは21.0kgm、車重は1000kg。1989年のマイナーチェンジでは、最高出力160ps/6000rpm、最大トルク22.5kgm/2,500rpmにまで引き上げられ、車重1130kg の4WDモデルも追加された。

 80年代の「テンロクホットハッチ」といえば、シビックやカローラFXといった自然吸気のDOHCエンジンが主流であり、ターボはもっと排気量の少ないクラスのもの、というイメージだったが、ミラージュサイボーグは、そこに新風を吹き込んだ。

 アクセルを踏み込むと、乱暴と表現するのがぴったりなぐらい強烈な加速を味わえる。あまりの強烈なエンジンパワーに、タイヤとサスペンションがついてきていない、と感じるほどだった。

 とはいえ、ショートストロークのエンジンは、どの回転域からもスムーズに回り、街乗りからスポーツ走行まで、どこを走っていても速かった。3代目ミラージュサイボーグは、豪快なパワーをねじ伏せながら楽しく走れるクルマだった。

 ちなみに、3代目ミラージュにはほかにも、ベーシックな「Swift(スイフト)」、女性オーナーを狙った「Fabio(ファビオ)」、リアサイドウィンドウをパネル化した2シーターの「XYVYX(ザイビクス)」という4つのグレードが存在するという、個性的なラインアップだった。

6代目ギャランのエクステリアと共通性の感じられる、マッシブでスポーティなフォルムで登場した、3代目ミラージュ。そのスポーツモデルがミラージュサイボーグだ

3代目ほどのインパクトがなかった4代目

 その後ミラージュは、1991年に4代目へとフルモデルチェンジ。4代目ではラグジュアリー路線となり、デザインは丸みを帯びた優しい曲線のボディとなった。メカニズムも超低燃費を実現したMVV(リーンバーン)エンジンや純度の高い走りを生み出すリアマルチリンクサスペンション、安全装備の積極採用といった、機能性や快適性の追求が目立った。

 サイボーグはというと、当初は設定されなかったものの、1992年の一部改良で可変バルブタイミング・リフト機構を持つMIVECエンジンを搭載して登場。NAながら175psと出力を向上させたものの、優しいデザインと機能性のイメージが先行して、3代目サイボーグほどのインパクトはなかった。

4代目ミラージュは丸みを帯びた優しいデザイン。途中で追加されたサイボーグはMIVECエンジン搭載で175psとなる

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