1995年のサファリラリーで優勝を飾ったトヨタ セリカGT-FOUR。この車で日本人初の、そして2021年現在で日本人唯一のサファリラリー優勝者となった藤本吉郎氏が、トヨタに保管され保存状態が悪化しつつあった同車を譲り受けレストア。
およそ2年がかりのレストアを経て、26年ぶりに当時の勇姿を現したトヨタ セリカGT-FOURを取材した!
※本稿は2021年11月のものです
文/永田恵一 写真/ベストカー編集部 ほか 撮影/西尾タクト
初出:『ベストカー』2021年12月10日号
■サファリウィナー! 伝説のセリカGT-FOURが復活
現在マニュファクチャラーズ、ドライバーズともにランキングトップを快走するヤリスWRCによる参戦をはじめ、トヨタのWRC参戦の歴史は非常に長い。
そのなかで最も成功を収めたモデルと言えるのが、1992年から1994年のドライバーズタイトルと1993年と1994年のマニュファクチャラーズタイトルを獲得した、セリカとしては5代目モデルとなるST185型セリカGT-FOURである。
この時代、トヨタは日本人ワークスドライバー育成プロジェクトも始めており、そのオーディションを勝ち抜いたのがTEIN設立者のひとりで、現在TEINの専務取締役を務める藤本吉郎氏だった。
藤本氏は1994年サファリラリーでワークスカーデビューを果たし、1995年には5カ月にもおよぶテストやレッキといった準備を行い参戦したサファリラリーを制覇した。
藤本氏とサファリラリーを戦ったこの個体は、ラリー直後のヘコミだらけの状態のまま日本に空輸され、トヨタで保管されていた。さらに、時間の経過により保存状態が悪化するいっぽうだったこともあり、藤本氏がこの先も優勝個体を残すべくレストアを決意。藤本氏個人がトヨタからセリカを譲り受けた。
この個体は元TTEのジェラール・ツィジック氏がドイツハノーバーに構えるCAR-ING社に送られレストアされることになり、2019年6月に日本を出国。2019年8月にCAR-ING社に到着したマシンはボディ+ロールケージという状態まですべてバラされ、レストアを開始。
ボディはパーツ取り用のST185のパーツも使いながら、塗装は完全に剥がされ、エンジンもフルオーバーホールを行うなどの徹底的なレストアが行われ、今年6月に完成。8月に日本に帰国した。
レストアされたサファリウィナーはもともとの傷みは激しかったが、イベントスタート前の状態を目指すというコンセプトでレストアされたこともあり、まるで新車のよう。
この個体特有の特徴であるサファリラリー参戦車のためアニマルバンパー、Aピラーに付く吸気用のシュノーケル、バックドアにも置かれるスペアタイヤ、140L燃料タンクといったサファリラリーならではの装備も目を引く。
なお、このST185ワークスカーは来年秋に富士スピードウェイ近くにオープンする富士モータースポーツミュージアムでの展示が検討されているという。
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