前回の2019年まで乗用車を中心としたモーターショーとして、フランクフルトで長く開催されていた「IAA Pkw」が、ミュンヘンに場所を移し、「IAAモビリティ」として生まれ変わった。
2021年9月7日〜12日、厳格な感染拡大防止措置がとられる中で行われた「IAAモビリティ2021」の模様をレポートする。
※本稿は2021年10月のものです
文/竹花寿実、鈴木直也 写真/ベストカー編集部 ほか 撮影/山本佳吾
初出:『ベストカー』2021年11月10日号
■ミュンヘンに場所を移してから初の開催
9月7〜12日、ドイツ・ミュンヘンで「IAAモビリティ2021」が開催された。
IAA(ドイツ語で『国際自動車展示会』を意味する『Internationale Automobil-Ausstellung』の頭文字)は、前回の2019年までは、「IAA Pkw」という呼称で、乗用車を中心としたモーターショーとして、フランクフルトで長く開催されていたものだ。
しかし、近年自動車業界を取り巻く変化はモーターショーも同様で、運営元のVDA(ドイツ自動車工業会)が、新しい形のモーターショーの開催方法を募集。「モビリティ全般を対象にしたショー」を提案したミュンヘン市がコンペを勝ち抜き、今回から同地で開催されることとなった。
かくして開催されたIAAモビリティは、ミュンヘン市郊外のメッセ・ミュンヘンをメイン会場としながら、市中心部に「オープンスペース」と呼ばれるサテライト会場がいくつも開設され、その間を最新エコカーが試乗できる専用レーン「ブルーレーン」で繋ぐという、これまでにない開催方法で行われた。
■残念ながら日本メーカーは不参加
参加自動車メーカーは、ドイツ系を中心に、ルノーやフォード、ポールスター、ヒュンダイなどが出展した。GMやステランティスの全ブランドのほか、スーパーカー/ハイパーカー系ブランドはおらず、テスラも不参加。日本メーカーも全社が参加を見送った。
一方で、中国の長城汽車や、直前にドイツ市場参入を発表した、ヒュンダイの高級ブランドであるジェネシスがブースを構えていたのが強く印象に残った。
MaaS系サービスデベロッパーや、電動キックスケーターなどマイクロモビリティの出展が多かったのも、今回のIAAの特徴だ。特に自転車メーカーは約100社が参加。都市部での足として大きく注目されているEバイクが大量に展示され、「モビリティショー」を印象づけていた。
近年、世界のモーターショーは、自動運転とEVのオンパレードだったが、今回も基本的には「EV祭り」だったと言えるだろう。各社とも欧州委員会が提案する2035年までの全新車ゼロエミッション化を受けて、新しい電動化モデルをお披露目するとともに、BEVの販売拡大計画をアナウンスした。
一方、自動運転に関しては、以前のように「20○○年までにレベル4/5を実用化する」といった話は出てこなかった。
ボッシュやヴァレオなどが、自動ヴァレーパーキングに関する新技術を発表していたが、一般道でのレベル4以上の自動運転実現へのハードルが、当初の予想以上に高く、各メーカーとも現時点で導入スケジュールの予想が立てられないというところなのだろう。
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