■BMWのお膝元ミュンヘン しかしショーの主役は?
ミュンヘンはBMWのお膝元ではあるが、今回のショーの主役は、個人的には完全にメルセデス・ベンツだった。
プレスデー前日の夜には、市内の巨大なメルセデス・ベンツのショールームで、世界中からメディア関係者を数百人集めて、大規模な前夜祭を開催。
翌日からも、メッセとオープンスペースの両方にブースを構え、ワールドプレミアとなったニューモデルやコンセプトカーの数々を、手に届くようなレイアウトで展示し、来場者を喜ばせた。
特に注目を集めたのは、GクラスのBEVコンセプトであるコンセプトEQGだ。メルセデスのアイコンのひとつであるGクラスが、2024年にEVとして発売されるというのは、ドイツ人にとっても相当なインパクトがあったようである。
もちろん他メーカーも、次世代EVのBMW iXや将来の循環型社会におけるプレミアムカーを模索したBMW iビジョン・サーキュラー、2025年に約2万ユーロで発売を計画しているコンパクトEVのコンセプトであるVW ID・ライフ、未来のEVカップカーをイメージさせるポルシェ ミッションRなどをお披露目した。
が、やはりメルセデスの存在感は圧倒的と言わざるを得ない。そこからは「来る電動化の時代でも自動車業界のリーダーとなる」という強い意志が感じられた。
今回は6日間で40万人の来場者があったそうだ。開催は数週間後にドイツ総選挙を控えたタイミングでもあり、ドイツではCO2削減政策に関心も集まっていた。参加を見送ったメーカーは、世界へメッセージを送るチャンスを逃したと言っていい。
【鈴木直也のオレにも言わせろ】まだまだあった注目車と電動化のこれから
ミュンヘンに開催場所を移したIAAモビリティは、サプライヤーやMaaS関連のITベンチャーなどにも門戸を広げ、脱モーターショーを図っている。
コロナ騒ぎで今回ぼくは取材に行けなかったのだが、現地に赴いた同業者に話を聞くと人とクルマのテクノロジー展やCES(ラスベガスで開催される世界最大のハイテク見本市)的な色あいが強かったとのこと。
モーターショーはとりわけ先進国では曲がり角といわれて久しいが「ドイツはそっち方向に舵を切ってきたか!」という印象だ。
もちろん、それでもメインとなっているのは地元勢を中心とするクルマの展示だが、こちらは言うまでもなく電動化まっしぐら。
いま欧州で吹き荒れているCO2削減の嵐の中では、以前のようにスーパーカーや大型SUVで盛り上げるわけにもいかず、ポルシェの目玉は電動レーシングカー、ベンツはマイバッハまで電動化して恭順の意(?)を示している。
案の定というべきか、主催者発表で来場者数は40万人と、低調だった前回からさらに3割減。まさに前途多難と言わざるを得ないよねぇ。
【おまけ】会場内の輸送でも電動化をアピール
ロジスティクスにおける「ラスト1マイル」の電動化は、多くの企業が取り組むテーマのひとつ。
今回もポールスターが多機能トランスポーター「Re:Move」のプロトタイプを発表。最高速度25km/hで180kgの荷物を運搬可能となっている。
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