短所も含めて元営業マンが本音で選ぶ! いま最も買い得なトヨタ車 ベスト3

■新型アクア「先代とは段違いに品質が高まった」

 同門のヤリスと同様にGA-Bプラットフォームを採用するが、アクアはホイールベースが長い。先代アクアやヤリスと比べて50mm拡大したホイールベースのおかげで、リアシートや荷室長に余裕ができている。

 アクアは、コンパクトハッチバックで犠牲になりがちなリアシート空間を充実させ、ダウンサイジングユーザーを満足させる実力を持ったクルマだ。

コンパクトハッチバックで犠牲になりがちなリアシート空間を充実させ、ダウンサイジングユーザーを満足させる実力を持ったクルマだ
コンパクトハッチバックで犠牲になりがちなリアシート空間を充実させ、ダウンサイジングユーザーを満足させる実力を持ったクルマだ

 その静粛性と走りは圧巻だ。さすがに内装、特にメーターフード付近を見ると、198万円からスタートするコンパクトカーとわかるが、目隠しして助手席に乗り走り出したら、上級セダンと言われても違和感はないと思う。

 実際に販売店で生の声を聞いてみると、先代アクアからの乗り換えもさることながら、クラウン・マークX・カムリなどの大型セダンからの乗り換えも目立つそうだ。

 セダンユーザーが高齢化し、小さなクルマを欲しているときに、チープさを感じない高品質なコンパクトハイブリッドが現れた。上級セダンユーザーが乗り換えても、アクアに大きな不満は抱かないという。

 先代とは段違いに品質が高まったアクア。トヨタでコンパクトカーを選ぶなら、ヤリスでもカローラスポーツでもなく、私はアクア一択だ。

■カムリ「埋もれている密かな良いクルマ」

 SUV、ミニバン、コンパクトハッチバックが人気の日本市場で、元気がないのがセダンだろう。日向に出ることが少ないカテゴリーであるがゆえに、良いクルマが埋もれてしまっている。なかでもカムリは、クラウンと同等の上質さを、カローラにプラスαの値段で体験できる、コスパ抜群のクルマだ。

 現行型の登場は2017年、最新のアップデートは2021年2月の一部改良となる。ディスプレイオーディオが8インチから9インチへ拡大、予防安全パッケージToyota Safety Senseの機能向上が図られた。

 2.5Lダイナミックフォースエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせは、充分な加速力を持ち、ストレスなくクルマを引っ張っていく。スポーツセダン・カムリのキャラクターにあった、軽快な心臓部だ。さらに張り切りすぎなければ、実燃費で20km/Lを超える。経済性の高さも魅力である。

クラウンと同等の上質さを、カローラにプラスαの値段で体験できる、コスパ抜群のクルマだ
クラウンと同等の上質さを、カローラにプラスαの値段で体験できる、コスパ抜群のクルマだ

 FFモデルならではの高い直進安定性を軸に、少し硬めでフラットな乗り心地を楽しむことができる。ドライバーズカーとして、安心してアクセルを踏み込み、ステアリングを切り込めるだろう。ニュルブルクリンクで鍛えたクラウンよりも、筆者にはカムリの方が素直で気持ちがいい。

 価格は、クラウンが489万9000円~、カムリは348万5000円~と140万円以上の差がある。カムリの最上級のグレード・WSレザーパッケージでも447万4000円と、クラウンのエントリーモデルより安い。

 それでも、クラウンの質感に負けず劣らず好印象であるし、FFのカムリはスペース効率が良く、使い勝手もいいだろう。500万円以上する上級セダンを買う前に、まずカムリに乗ってみて欲しい。

               ◆  ◆  ◆

 この他にもトヨタには良いクルマがたくさんある。目的のクルマを決めずに、ショールームへ出かけていき、セールスマンにクルマへの要望を伝えながら、おすすめの一台を紹介してもらう買い方も面白いと思う。

 今まで気づかなかった、トヨタラインナップの新たな魅力に気付けるのではないだろうか。

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