少々旧聞になるが、トヨタの欧州法人であるトヨタモーターヨーロッパは10月13日に、2021年1月から9月にトヨタブランドとレクサスブランドが、欧州で前年同月比21%増となる86万4904台販売され、欧州でのシェアが前年同月比0.6%増となる過去最高の6.7%に拡大したことを発表した。
特にトヨタブランドは、今年1月から9月に前年同月比21%増となる80万5181台を販売し、欧州で販売される乗用車ブランドではシェア第2位となる6.4%(前年同月比0.7%増)を占めた。
本稿ではトヨタブランドが本場となる欧州でシェアを伸ばしている理由を考察し、日本で売れているトヨタ車と欧州で売れているトヨタ車の違いなども紹介していく。
文/永田恵一、写真/TOYOTA
■なぜ欧州でトヨタブランドのシェアが伸びている?
●ハイブリッドの性能向上に伴う評価向上
以前は「平均スピードが早い欧州ではハイブリッドよりディーゼル優勢」と言われていた。
しかし、欧州の電動化シフトによりディーゼルの立場が微妙なものとなっているのに加え、厳しくなる一方の排ガス規制対応により、もともと高価なディーゼル車の価格はさらに上昇傾向だ。そのため、小型車をはじめとした比較的安い価格帯のモデルにはディーゼル車の設定自体も難しくなっている。
それに対しトヨタのハイブリッドは同社が長年育て続けてきたこともあり、価格競争力がディーゼルより高いのに加え、弱点だった欧州のペースでの燃費や動力性能も改善されており、トヨタの欧州でのシェア拡大に大きく貢献した。
それだけにトヨタブランドの欧州での今年1月から9月のハイブリッド比率は59%となる47万712台(前年同月比38%増)、特に主力となるヤリスとカローラファミリー、RAV4のハイブリッド比率は78%と非常に高い。
●トヨタブランド車の性能・品質向上
ここ数年のトヨタ車は、クルマ自体も使用条件が厳しい欧州でも通用するものとなっており、このことも欧州でのトヨタブランドのシェア拡大の後押しになっているのだろう。
●WRC参戦効果
欧州での拡販のためのブランドイメージ向上にはプロモーションや市販車へのフィードバックなども含め、モータースポーツへの参戦は重要だ。トヨタはそういった目的もあり、2017年からWRC(世界ラリー選手権)に復帰しており、目論み通りの成果を挙げている。
まとめると、トヨタが欧州での拡販のため時間を掛けて取り組んできたことが、今しっかり開花しているというわけである。
コメント
コメントの使い方