■GRヤリスH2に水素エンジン車としての可能性はあるのか
ベースがGRヤリスなのでカローラスポーツより室内空間は限られるため、水素タンクの容量はスーパー耐久マシンより少ないと予想できる。だがレースペースで走るとカローラスポーツでも30分しかもたないのだから、GRヤリスのボディではタンク容量の小ささから、さらに航続距離は短くなる。
そのままでは公道を走っても燃料電池車と比べて航続距離が短過ぎるから、さすがに市販前提でこの先の開発を続けるということではなさそうだ。
航続距離を伸ばすために燃費を上げるのは、かなり難しい。前述のようにいかに最適なタイミングで水素を噴射して燃焼させ、得られた圧力を駆動力にして取り出せるか、ということになる。
レースではなく、公道で速さやドライブフィールを追求しないのであれば、ハイブリッド技術と組み合わせるという手も使えそうだ。そのためにもまずはエンジン単体での開発が必要ということになる。つまり今がそれだ。
水素エンジン車は、FCV(燃料電池車)と比べて、純度の低い水素でも利用できるのもメリットだが、現実的には純度の低い水素をわざわざ供給するのはインフラ整備の問題もあってコスト低減にはつながらない。
しかしFCV用の水素ステーションの整備が進めば、水素エンジン車の現実性が高まるのは間違いない。グリーン水素(再生可能エネルギーなどによる生成時CO2排出のない水素)生成技術の確立とともに、水素利用のさまざまな方法が用意されている必要がある。
まだまだゴールは遙か先なのかもしれないが、着実に前進している水素エンジン車を熱い視線で応援しようではないか。
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