低コストかつ柔軟な開発がSUV拡充計画成功の道しるべとなるか
ひとつはコスパの良さで、これはマツダが長年培ってきた一括企画(またの名をモデルベース開発)の効果をフルに発揮する勝負どころとなるからだ。少ないリソース(国内の完成車組み立て工場は宇品と防府の2箇所)で数多くの車種を生産しなければならない事情があるから、マツダの工場は以前から混流ラインによるフレキシブル生産システムに定評があった。
これは、開発チームについても同様で、限られたマンパワーで多種多様な開発を行うための工夫では業界随一。パワートレーンやボディ・シャシーに関して、もっとも重要なコア(例えば燃焼や衝突など)部分を徹底した実験をふまえて数値モデル化し、その数値モデルをベースにバリエーションを開発するモデルベース開発(MBD)の先駆者として知られている。
この開発/生産の両面における革新に一定のメドがついたことが、異例ともいえる大規模な新車計画の前倒し発表に踏み切ったひとつの理由。要するに、多種多様なパワートレーンやボディタイプを一気に開発し、それを低コストかつ柔軟に生産する自信がある、ということなのだ。
マツダは年産150万台クラスのメーカーで、ラージ商品群の当面の目標をその10%とすると年15万台。いま25万台の北米市場に数万台上乗せすることができれば、グローバルで15万台というのはそれほど非現実的な目標でもない。
ついでにいえば、COP26(気候変動に関する国際連合枠組条約締結国会議第26回)では総論賛成各論反対で意見がまとまらず、石炭火力や内燃機関廃止について一致した宣言が出せなかった点も注目。これまでEUが一方的に決めてきたルールに、批判の声が高まってきている。マツダの電動化戦略に少しだけ時間の余裕が生まれたとみることも可能だ。
われわれ日本のクルマ好きとしては、2022年にデビューするであろうCX-60のデビューを、まずは楽しみに待つしかないのですが、ホントにこのチャレンジ、ぜひ成功してほしいものでございます。
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