■日本国内事情:事故多発交差点のナゼ
全国ワースト10となる危険な交差点の特徴は、そのほとんどが高架のある複雑な構造であることだ。
高速道路が通るだけでなく、立体的な構造により渋滞を低減させる目的の交差点では、橋脚による死角や陸橋からの合流など上下方向にも注意を払う必要が生じている。そして交通量も多く、自転車や歩行者も通勤時間帯には多い交差点ばかりだ。
これらは道路構造が独特で、高架などにより交差点が広くなっていることから、通行の際には通常よりも視界を広くしなければならないのだ。
安全確認する要素が増えているため、本来は注意深く進まなければ危険なのだが、いつもの運転どおりに交差点に進入して危険に遭遇するドライバーも多いのだろう。
右折車線が2車線ある交差点も多く、対向車の右折待ちによって対向直進車が見えにくいことで、右直事故が発生しやすい環境となっている。
また危険に直前に気付いた前走車が急停車したことで、後続車が追突するケースなども当然起こりえる。
特に大阪府に危険な交差点が集中しているのは、道路幅が広い大きな交差点が原因なだけでなく、駅前や官庁関係など人の出入りが多い地点ということも関係するようだ。
交差点の複雑ぶりに加えて、自転車のマナーの悪さも危険性を高めているのは間違いない。自転車の危険走行を避けるためのドライバーの急ハンドル、急ブレーキで事故が起こっている可能性も高いのだ。
単純に交通事故件数で見れば、東京や静岡、愛知、兵庫、宮崎なども大阪や福岡と同じくらい多い。
しかし交差点にクローズアップすると大阪と福岡が上位を独占してしまうのは、交差点の構造だけでなく、そうしたドライバーや自転車の運転マナー、ご当地ルールなどが横行していることも危険因子としてありそうだ。
防犯カメラだけでなく、警官が常駐して取り締まりを厳格化しなければ、改善していくことは難しいだろう。
(TEXT/高根英幸)
【番外コラム】厳罰化の効果はあったのか? あおり運転は減ったor増えた?
東名高速での死亡事故など「あおり運転」が問題となったことで新設された「妨害運転罪」。
令和2年(2020年)6月30日に施行されたあとの適用件数は、同年12月末時点で58件あった。
違反類型のひとつである車間距離保持義務違反の取締件数は、前年同期比で約20%減少し、一定の効果があったという評価が出ている。
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