荷室長は負けているのになぜだっ!! それでもハイエースがキャラバンに勝つ理由

荷室長は負けているのになぜだっ!! それでもハイエースがキャラバンに勝つ理由

 日本におけるキャブオーバーバンの二大巨頭、トヨタ ハイエースと日産 キャラバン。絶対王者のハイエースに対し、スペック上では肉薄しているのがキャラバンである。4ナンバー車の荷室長に至っては、キャラバンが3050mm、ハイエースが3000mmと、キャラバンの方が長いのだ。

 大きな荷物を乗せることが多い商用車では、荷室長の長さで優るのは、大きなアドバンテージだと思うのだが、それでもキャラバンはハイエースを追い抜けていない。

 絶対王者ハイエースの強さはどこにあるのだろうか。ハイエースにあって、キャラバンに無いものを分析しながら、ハイエースが好調に売れる理由を解説していく。

文/佐々木 亘、写真/TOYOTA、NISSAN

【画像ギャラリー】勝因はスペックには現れないアノ部分!? キャブオーバーバンの王者ハイエースと追いかけるキャラバン(11枚)画像ギャラリー

■スペックではキャラバンが上? それでもハイエースが勝ち続ける理由

2021年10月20日にマイナーチェンジを行った日産 キャラバン。内外装を変更して質感を大いに高めた
2021年10月20日にマイナーチェンジを行った日産 キャラバン。内外装を変更して質感を大いに高めた

 2021年10月20日、日産 キャラバンがマイナーチェンジを行った。内外装の質感は大きく高まり、特別仕様車プロスタイルは、ハイエースの人気グレードであるスーパーGLにも負けていない。

 現行H200系ハイエースのモデルライフは17年を超えた。このクルマが毎月のように1000台近い販売台数を稼ぎ出す。対してキャラバンは、好調な月でもハイエースの5分の1程度の販売台数にしかなっていない。

 使い勝手や乗り心地、クルマの質感などは、ほとんど同等か、キャラバンが上手にいるようにも見えるが、ハイエースは絶対王者として君臨し続ける。ゆるぎない人気の理由は、カタログスペックでは語ることができない部分に存在しているのだ。

■商用バンの神髄を極める! 数字では語れないハイエースの魅力

トヨタ ハイエース。現行型のモデルライフは17年を超えている。この事こそがキャブオーバーバンとしての完成度の高さを物語る
トヨタ ハイエース。現行型のモデルライフは17年を超えている。この事こそがキャブオーバーバンとしての完成度の高さを物語る

 ボディサイズ、エンジンスペック、室内の大きさなど、数値で語れる部分では、H200系ハイエースが、キャブオーバーバンの正解を出していると思う。

 キャラバンは、スペックをこの数値に合わせるか、もしくは少しだけ上回り、自身の優位性を示すしかない。しかし、いくら数値を高めても、ハイエースを超えることはできなかった。

 ハイエースには見えない力がある。この数値に表せない力が、ハイエースとキャラバンの大きな違いだ。

 まず、商用バンに求められるものを整理しよう。大きく分けると3つだ。

 1、壊れにくく万が一壊れてもすぐに替えがきくこと、
 2、燃料コスト削減のため、長距離走行時の燃費がいいこと
 3、長年使い倒した後でも、リセールバリューが残ること

 以上の3点で、ハイエースはキャラバンを大きく上回る。

 ハイエースは本当に頑丈で壊れにくい。少々の故障はあるが、クルマが走行できない、使用することが難しいという故障は、あまり見たことがない。万が一不具合が起きても、修理がしやすいクルマでもある。

 トヨタディーラー以外にも、多くのハイエース専門ショップがあり、専門的な修理・修復がしやすい。様々な用途で使われるハイエースユーザーにとって、専門ショップはありがたい存在だ。

 燃費の面では、カタログスペック上の大差はないが、よりエンジンパワーが大きく、高速巡行で燃費を稼ぎやすいハイエースの方が、長距離移動の多いビジネスユースには使いやすいクルマであろう。

 そして最も大きな差がリセールバリューだ。筆者は営業マン時代に、ハイエースとキャラバンを何度も査定した経験がある。

 一度買ったらクタクタになるまで使い倒される両車は、15年落ちで走行距離20万キロを超えるという状態も珍しくない。こうした厳しい状態のクルマでも、値が付くのが両車の魅力であり、同条件での査定額は、ハイエースが10万円以上高いことが多かった。

 状態が良ければ、査定額の差はさらに大きくなる。ハイエースを買うかキャラバンを買うかで迷ったときに、このリセールバリューの差で、ハイエースを選ぶユーザーも多いだろう。

次ページは : ■ハイエースに勝つためには、自身の歴史を醸成させることだ

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