■課題は見た目? 売れないグランエースを再生するためにはここを直せ!
内装はきれいで質感も十分だが、アルファードに比べればその質は劣る。さらに大きすぎるボディサイズが、個人ユーザーの購買意欲をさらに下げているのだ。
また、エクステリアデザインでも気になる箇所がある。
アルファード・ヴェルファイアやノア・ヴォクシーのようなボンネットタイプのボディ形状をしていて、フロントマスクのデザインには凝った印象を受けるのだが、サイドからリアにかけて、のっぺりとした箱感が強い。前から見れば乗用車なのだが、横から見ると商用車感が否めないのだ。
ボディカラーにホワイトパールクリスタルシャイン(070)やブラック(202)を設定して、質感を高めているものの、大きくなったタウンエースのような雰囲気が残ってしまう。これでは個人ユーザーの人気は集まらないだろう。
エクステリアで選ぶならアルファードだし、何なら箱感を上手く使っているハイエースワゴンの方が、デザインとして受け入れやすく感じる。
デザインを少し個人ユーザー向けへ改善できれば、販売台数は回復する可能性はあると思う。「6人が快適に移動する」というパッケージングを見事に体現したグランエースは、貴重なクルマであり、ブラッシュアップを続けていきたい一台だ。
一般ユーザーが持つ普通免許で運転できるクルマでは、どうしても4名までが快適に移動できる人数の限界だった。3列目シートは応急用であり、そこに押し込められた人は、窮屈な状態での移動を強いられる。
グランエースは3列目までしっかりと座れるシートを配置し、足も伸ばせる。6名が快適に移動できる乗用車だ。ミニバン・SUVが主軸にある日本市場で、このクルマの持つ意味は大きい。
素晴らしいパッケージングに、デザインと価格がついてこれば、人気に火がつくクルマだと思う。存在価値は高いだけに、今後の改善が期待される。
これからの大型乗用車のスタンダードになる可能性があるクルマなだけに、じっくりと改良を重ねながら熟成していきたい。名コンセプトのクルマが、1世代で終わってしまうという、もったいない事態にはならないでほしい。
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