ネッツ店の顧客もアルファードを選べるようになったことが追い打ちに
また、2020年5月以降のトヨタ販売系列の全店併売化もヴェルファイアに追い打ちをかけた。アルファードとヴェルファイアは、ボディサイズや価格帯、装備などは原則一緒であったが、アルファードが、よりイメージのいい高級志向のトヨペット店専売車であったこと、そして何より、前述の理由でアルファードが「人気車」となったことで、ヴェルファイアよりも、アルファードを選ぶ人が多くなってしまったのだ。
ネッツ店の顧客もアルファードを選べるようになったことは、ヴェルファイアにとってつらいことだった。
さらにヴェルファイアは、2021年4月の商品改良で、300万円台で購入できるエントリーグレードを廃止し、2WDガソリン車の「ゴールデンアイズII」(424万円)と、4WDハイブリッド車の「ゴールデンアイズII」(508万円)の2グレードのみに絞られた。中級グレードにオプション装備を追加したお買い得なグレードではあるが、エントリーグレードがなくなったことで、アルファードとの差が鮮明となり、ヴェルファイアは、冒頭でふれたような無残な状況となってしまったと考えられる。
一方で、中古車需要は高騰
ご存じの通り、半導体や材料不足の影響により、現在新車が入手しづらい状況であることから、中古車相場が全体的に高騰している。中古車事業を展開する関係者によると、なかでも、ヴェルファイアの中古車需要は高く、例えば2022年の中古車オークションでは、4年落ちとなる2018年式ヴェルファイア(16,000km)が、445万円もの高価格で取引されたという。
「供給が減れば、需要は高まる」法則の通り、台数が多いアルファードをあえて選ばない層が出始めているものと推測される。
ヴェルファイアの中古車価格が高騰する理由は、海外市場からの需要も関係している。海外で正規販売されていない、日本製のエアロパッケージをまとった個体は、海外市場から見れば貴重であり、いくら出してでも欲しい存在。アルファードに飽きた海外顧客が、珍しいヴェルファイアに飛びつく、そういった構図が起きているのだろう。
次期型では新型ヴォクシーのように「キワモノ」に!?
次期型では、モデル統合される可能性が高いとされているアルファード/ヴェルファイアだが、先日発表となった新型ヴォクシーのように、「独創性を求める新たな層」に向け、「キワモノ顔」で攻めた新型ヴェルファイアを用意する可能性も考えられる。
このようなチャレンジができるのは、底力があるトヨタだからだ。できれば、このアルファード/ヴェルファイアに対抗する新型のライバル車が登場してほしいが、このトヨタの勢いについてこれる自動車メーカーは、いまの日本にはない。今後も、アルファード・ヴェルファイアの独壇場は続くだろう。
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