■入金しても納車されない、返金されない悲劇
具体的に被害に遭った人の事例を紹介してみたい。彼らはなぜデュナミスレーシングで新車を購入するに至ったのか?
被害者Cさんの場合
被害額 200万弱
支払日 令和3年8月初旬
契約車 スズキ エブリイワゴン
納車予定日 令和4年1月末
返金 なし
「納車について毎月尋ねていましたが『半導体不足でねー』、『コロナで生産遅れてるんだよね』などと言われていました。私に紹介してくれた人も過去にちゃんと納車されていたので安心していました。入金後、毎日のように『お客さんを紹介してほしい』とのLINEがうるさいくらいに来ていましたね。
痺れを切らして、(2021年)11月末に店舗へ行って確認しました。『もしかするとあと3〜4ヶ月待つかもしれない』と言われました。そこで本当に発注しているのか不安だったので確認すると、O社長からは『県外のディーラーに発注している』との返事。
そこの連絡先を教えろと言っても教えてはくれず、驚いたことに『オークションの中古車でどうですか?』といわれました。こっちは半年前に新車を頼んで全額入金しているのに、なんで中古車?
これはもう絶対発注してないと思ったのでその場でキャンセルしました。その場で返金を求めると、『お金は発注した人に渡してあるので今は返せない。1月ならお金が入ってくるので返せる』と言われました。(2022年)1月末までに全額返金してもらうよう文書でも同意させましたが、音信不通になってはもう無意味ですね」
Cさんのようなパターンは少なくない。今回話を伺った被害者の方全員が、信頼できる知人や友人、会社の上司や仕事仲間などからデュミナスレーシングを紹介され、購入している。もちろん、紹介者は過去にデュナミスレーシングで新車を買って、無事に納車されてきた人たちだ。
「ぼくらが毎日一生懸命働いて貯めたお金です。好きなクルマを買って待っている時の楽しみな気持ち。O社長はここに関わる全員の気持ちを踏みにじる最低な行為をしています。本当に許せない! でも、まだ諦めてません」
ところで、このような状況の中、警察はどんな動きをしているのだろうか? 連日、被害を受けた人たちは長野南警察署を訪れているが、被害届はまだ受理されていないとのこと。ほとんどの場合、「被害相談」という形で名前と連絡先、被害金額を伝えるだけで帰されている状況だ。
被害者の多くは、警察の緩い動きに怒りを感じている。
「長野南警察には何度も足を運びましたし、電話でも聞きました。(2022年)1月初旬に行った時には、被害者のリストを作っていると言われました。そこで、名前と連絡先、被害額を記録していました。被害届け受理にはまだ時間がかかるそうです。『これだけの大事になっているので慎重に捜査は進めている』との返事でしたが…」
なお、店はO社長1人が切り盛りしていたようで、経理と整備を担当する従業員はいたが、給料は長く未払い。従業員からも数百万円の借金をしていたという。
そして渦中のO社長。ホントかウソか定かではないが、トラブルを知らずに新車購入の問い合せをしてきた客に対して「入院を予定している」とのメッセージを残して、2022年1月15日夜から再び連絡を絶っている。
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