「500万円全額入金したのに2年近く納車されない」
「契約キャンセルをして、返金の期日から半年たっても返金なし」
「注文したのと違う安いナビがついていた。差額50万円が返金されない…」
「同じ時期、同じ車種を買った他の人は納車済み。なぜうちは納車されないのか」
「30年以上ここでクルマを買ってきた。これまでは何の問題もなかったのに…」
テレビや新聞、ネットニュースなどでも報道されるようになり、御覧になった方もいらっしゃるだろう。長野県長野市にある自動車販売店『デュナミスレーシング』で、新車納車をめぐるとんでもないトラブルが発生し、経営者であるO社長は行方不明。納車を心待ちにしていた多くの被害者を苦しめている。
被害の全容は明らかになっていないが、筆者のところにはこの1週間で40人以上の被害者から情報提供があった。元従業員と接触した関係者の話では、被害者の数は100名以上、被害総額3~4億円との試算もある。以下、事件の概要と現時点での実態を取材結果からお届けします。
文/加藤久美子
写真/AdobeStock(アイキャッチ写真はイメージ、@DESIGN ARTS)、被害者提供
■デュナミスレーシングとは?
前代未聞の大規模納車トラブルの店「デュナミスレーシング」は、1995年にオープンした長野市内にある自動車販売店である。新車販売、中古車販売、下取り、買い取り、車検、チューニング、カスタム、一般修理、自動車保険などクルマに関わるあらゆる業務を行っていた。昨年12月28日頃から行方不明になっているO社長が経営している。
O社長は1980年代、神奈川県内の日産生産工場勤務を経て神奈川県内の日産ディーラー→長野県内日産ディーラーで新車販売を担当していた。営業成績は非常によく、県内トップレベルだったという。今回の被害者の中には、日産(長野)時代から付き合いのある人も少なくない。
長年の付き合いがある被害者Aさんは、こう明かす。
「20年以上前、デュナミスレーシングはクルマ好きのたまり場でしたね。当時は新車販売よりもチューニングがメインのショップでした。チューニングの相談をしたり走行会の計画を立てたり、クルマ好きが集まる店内は活気がありました。ショップに集まって、そのまま走りに行くこともありました。当時は整備士も5名いて、腕のいい整備士がチューニングを担当していました。
その腕利きの整備士さんたちがいなくなってから新車販売メインの商売になったんです。2000年以降ですね。
それから店の雰囲気も変わってきたように思います。昔はプライドのあるショップだったのに、こんなふうにヤバい店になってしまって、とてもショックですし残念です。そして腹立たしい」
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