■「認知差型」で年収1500万円超を装う
●トヨタ MIRAI(初代)…見た目年収:1800万円/実際の中古車相場:180万円~
では認知差型(人々が「思う価格」と「実際の価格」の差で勝負するタイプ)の具体例を見ていこう。
きわめて破壊力が強いと思われるのが初代トヨタ・MIRAIだ。初代MIRAIは新車価格700万円超の高額車だったわけだが、もちろんそんなことを知ってるのはカーマニアだけで、一般の人は価格など知らないはず。だが「水素のなんか凄いやつ」という認知は確実にしている。
しかし実際の初代MIRAI中古車は、走行1万km台のものでも総額180万円くらいからなのだ。認知差型としては最高の一台である。ただ、「自宅近くに水素ステーションがないと維持がキツい」というのがネックではある。
トヨタ・アルファードの現行前期型やレクサス・SCなども格安で買える中古車だが、世の一般層からすれば「高そうなクルマ」なので、細かい心配はしなくていい。
だがそれ以上に素晴らしいのはマツダ・アテンザワゴンの後期型だろうか。形もオーラもほぼ現行マツダ6ワゴンと同じで少々セレブ風味だが、アテンザ名義であるがゆえに、中古車相場は150万円から。そのオーラからすれば激安と言っていいだろう。
●ポルシェ 911(996型)…見た目年収:2000万円/実際の中古車相場:240万円~
輸入車では、やはり996型のポルシェ・911こそが最強だろうか。
カーマニアの間ではそもそも人気薄で、さらにインターミディエイトシャフトの不具合などで中古車相場は壊滅的になっているが、素人衆には996型も現行992型も区別なんてつかない─というのは言い過ぎとしても、まぁ我々マニアが思っているほどには区別がついていない。
だから激安996型でも「ポルシェ! 凄い!」ということになるのだ。インターミディエイトシャフトの問題にしても、サービスキャンペーンによる対策整備済みの個体を買えばいいだけの話である。ビバ、ポルシェ!
996型911と同世代の初代ポルシェ・ボクスターも、キレイにさえしておけば一般層からは「お金持ちのスポーツカー」に見え、先代BMW・X5や先々代メルセデス・ベンツのSクラスも悪くない選択だ。
だが、より破壊力が強いのは現行型のアウディ・A4だろうか。欧州Dセグのバリバリ現行モデルでありながら、中古車は150万円くらいから探せる。
カーマニアは「でも2018年12月のマイナーチェンジが!」などと細かいことを言うが、普通の人はそんなところなどいっさい見ないしわからないものなので、気にする必要はまったくない。
■「地主型」で資産10億円超を装う
●トヨタ セルシオ(3代目)…見た目保有資産:12億円?/実際の中古車相場:30万円~
地主型の具体例にまいろう。ただ、地味めなクルマが主体となる地主型の場合は、そのまま乗っていては「単に地味で古いクルマに乗ってるおっさん」に見えてしまうおそれも。そのため、地主型で勝負をかける場合は「衣服あるいは持ち物に、1点だけ高級ブランドを混ぜる」というテクニックも必要になる。
1点だけ高級ブランドの品を混ぜることで、初めて「古いクルマを大事に乗り続けている地主」に見えるのだ。
さて、そのようなテクを使ったうえで最終型のトヨタ・セルシオを中古で購入し、キレイなドノーマル車を安全運転していれば、あなたはもうどこからどう見ても地主だ。同じ最終型セルシオでも、派手なホイール+ネガティブキャンバーを付けている場合と比べ、見た目上の保有資産額は1000倍ほどにはなる。
これと同様の効果は歴代のクラウンでも得ることができ、「鎌倉ベンツ」と言われたプログレでも「湘南あたりの大地主の4代目かな?」と錯覚させることができるはずだ。
●日産 シルフィ(絶版)…見た目保有資産:100億円?/実際の中古車相場:40万円~
さらなる超高等テクとしては、日産シルフィなどの「地味な5ナンバーセダンにあえて乗る」という作戦もある。
が、これは本当に難しく、一歩でも間違うと「ただの地味な人」にしか見えないため、己の偽装力に自信がある人以外には、お薦めしない。
また、このガソリン価格高騰時代に、あえてユーノスコスモを乗り回し、「コスモのガス代を払えるとはタダ者じゃねえ」とカーマニアをもビビらせる高等テクもあるが、自分の財布も確実に傷つける諸刃の剣ではある。
まぁユーノスコスモはさておき「さすがにもう少し派手めなクルマのほうが好き」という場合は、ランクル100系や先代のベンツCクラス(地主さんはセダンが好きなのでワゴンではなくセダン推奨)あたりがいいだろう。
また先代フォルクスワーゲン・パサート(セダン推奨)も、いかにも「物のわかった地主さん」が長く乗っていそうな、偽装に最適なセダンだ。
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