「貧乏人に見られるよりは、金持ちに見られたい」「他人からナメられたくない」。人の心はそれぞれであるため、そのようなことをまったく思わない人もいるだろう。それはそれで、もちろん構わない。
だが一部には必ず(思いの強度はそれぞれだとしても)そのようなことを思う人間はいる。なぜならば、それは人間という社会的な生き物が『後天的に獲得した本能』に近いものであるからだ。
で、周囲に「あいつ、けっこうカネ持ってるな……」と思わせることができる、てっとり早い方法のひとつは「高いクルマ」に乗ることだ。極端な話としては、数億円のブガッティに乗っている人間は、どこからどう見ても金持ちにしか見えない。
だが……、普通に考えてブガッティを買うことなどできない。いや、たとえブガッティでなく、それが「ベンツのGクラス」であったとしても、実際に入手するのはなかなか難しい。
ならばどうすればいいか。答えは極めてカンタンで、「高そうに見える、実はそんなに高くない中古車」を買えばいいのだ。
カーマニアは中古車の相場にも詳しいため、マニアからはすぐに見破られるだろう。だが、中古車相場にも詳しいカーマニアなど、全日本人の5%ぐらいしかいないので(筆者独自調査)、まったく問題はないのだ。
さぁ、今すぐ「高そうに見える、実はそんなに高くない中古車」を買い、己の年収を『偽装』しようじゃないか!
※本稿は2021年12月のものです
文/伊達軍曹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年1月10日号
■まずは偽装の方向性を決める
「クルマで年収を偽装する」としても、ただやみくもに行っても成功は難しい。大きくわけると2種類ある「偽装の方向性」をまずは知り、そのどちらが自分の嗜好やライフスタイルに合うかをまずは検討しなければならないのだ。
さらに、どちらの方向性を選ぶにせよ、「細かい詰めの作業」もきっちり行わないことには、単なる物笑いのタネで終わる可能性が高い。というわけで、まずはお勉強だ。
●認知差型
車両価格に対するカーマニアの『センサー』は非常に発達しているため、例えば2世代前のBMW・X5あたりを見ても「金持ちが乗ってるプレミアムSUV」などとは感じない。
「中古車屋に行けば安く買えるドイツ車」くらいにしか思わないものだ。そして偽装を行おうとする本人もカーマニアである場合が多いため、2世代前のX5で年収を偽装することなど「不可能でしょ?」と考えがちだ。
だがそこが盲点なのだ。
カーマニアは、先々代BMW・X5の中古車が総額100万円くらいから買えることを知っているが、世の中の9割がたの人はそんな事実を知らず、「ビーエムの大きなSUV=たぶん高いんだろうな」くらいの認知しかしていない。この「認知の差」を上手に使えば、クルマによる年収偽装など比較的カンタンに遂行できるものだ。
とはいえ車種選択に細心の注意を払う必要はあり、内外装コンディションや洗車の頻度などにも気を遣わないと、認知差型の年収偽装計画はあっけなく失敗する。そのあたりの詳細については次ページ以降で詳述する。
●地主型
年収偽装というと「とにかく高そうに見えるクルマを買えばいいんでしょ?」と思いがちだが、その真逆の「高そうに見えないクルマをあえて選ぶ」というやり方もある。それが「地主型」と呼ばれる手法だ。
地主さんというのはフロー型ではなくストック型のお金持ちであるため、基本的には「倹約の精神」が発達しており、むやみに華美な洋服やクルマなどを買って散財しまくることはない。
また強盗被害などに遭わないようにするため、あえて地味めな服を着て、地味めなクルマ(でも乗るといいクルマ)を、長年の付き合いがあるディーラーの完全おまかせで整備してもらいながら長く乗る─という生活様式を採用している場合が多いのだ。
そんな地主系のライフスタイルを参考にするというか装うことで、「あいつ、もしかして大地主の4代目か何かか?」と錯覚させるのが、地主型年収偽装である。
この場合も車種選択や内外装コンディション、洗車の頻度は重要なポイントであることは変わりなく、さらには「服装」も、念入りに偽装する必要がある。
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