■スポーツカー専門店『GTNET埼玉』に取材
だが問題は、「底値圏のGT-R=500万円台のR35型GT-Rとは、はたして買っても大丈夫なシロモノなのか?」ということだ。
買ったはいいが中味はボロボロで、さらには故障続きで、修理代をいくら用意しても足りないみたいなことになるのであれば、いくら安めに買えたとしても意味はないのである。
……実際のところはどうなのか?
そのあたりを確かめるため、筆者は埼玉県さいたま市のスポーツカー専門店『GTNET埼玉』へ向かった。
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――ということで『GTNET埼玉』店長の川本雄一さん、いきなりですが「500万円台のR35型GT-R」ってぶっちゃけどうなんでしょう? 買っても大丈夫なものなんでしょうか?
川本店長:うーん、少なくとも当店ではお薦めしていませんね。
――その理由は?
川本店長:というのも、車両価格500万円台のR35型GT-Rは「買って即メンテナンスが必要になる」という場合がほとんどなんですよ。
――具体的にはどのあたりのメンテが必要になるんですか?
川本店長:まずタイヤはほぼ絶対に交換しなくてはなりませんし、それに加えてフライホイールハウジングのガタを修理して、さらにブレーキローターも買って即、交換することになるでしょうね。
――あ、そうか。そういった部分の交換がされていないままだからこそ、再安値の物件は最安値なわけですね?
川本店長:そうなんですよ。そしてGT-Rというのは部品代が高い車ですから、そのあたりを交換するとすぐに50万円から100万円ぐらいはかかってしまいます。
そのため、底値の個体を狙っても意味がないというか、それなら最初からもっといいやつを買ったほうがおトクといいますか……。
――なるほどぉ……。そういえばGT-Rはすべての部品が高いですからね。GT-Rの推奨タイヤって、4本交換するといくらぐらいかかるんでしたっけ?
川本店長:ディーラーさんで交換するとなると50万円ぐらい、当社で交換する場合でも30万円ちょっとはかかりますね。
――ううむ……。
川本店長:そのほかにも最安値圏の個体は、R35GT-Rの定番的な弱点といえる6速DCTが奇数ギアにしか入らなくなってしまう可能性を抱えていたり、マルチファンクションディスプレイの画面が赤茶けた感じになってしまっていたり、メーターのLEDバルブがあちこち切れてしまっていることもなくはないと思います。
――ちなみにGT-Rの6速DCTって、修理するとなるといくらぐらいかかるんですか?
川本店長:分解修理をする場合、軽度の故障であれば40万~50万円ぐらい、重症の場合は100万円少々かかるとお考えください。
――ちょっとシャレになりませんね。
川本店長:ですから、最初の「500万円台のR35型GT-Rは買っても大丈夫なのか?」というご質問に対するお答えは、「やめておいたほうがいいでしょう」ということになるんです。
――ううむ。では今、だいたい、いくらぐらいを見ておけば「悪くないコンディションの前期型GT-R」が買えるんでしょうか? ……やっぱり1000万円ぐらい出さないと無理ですか?
川本店長:いえいえ、車両価格で600万円台半ばから700万円ちょいぐらいを目安にしていただければ、「買って即メンテナンスが必要になる」というわけではない、普通に悪くないコンディションのR35型GT-Rをお探しいただけますよ。
――たとえばこの2008年式Premium edition、走行5.4万kmで678万円という中古車とかですね?
川本店長:はい。あくまで一例ですがこの個体であれば、買ってすぐにタイヤとブレーキローターとフライホイールハウジングを交換しないと……みたいなことにはなりません。
――内装も、もちろん「新車同然!」というわけではないですが、十分キレイですね。
川本店長:ありがとうございます。そしてR35型GT-Rというクルマは、エンジン本体はさすがに手組みだけあって非常に頑丈ですし、補機類も特に弱いということはありません。
それゆえ前期型の中古車であっても、先ほど申し上げたとおり「車両価格600万円台半ばから700万円ちょいぐらい」を目安に探していただければ、ある意味普通の乗用車に近い感じで問題なくお乗りいただけるものなんですよ。
――なるほど、それはいいですね!
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