■株価上昇により時価総額も上昇! しかし商売上手なテスラの半分にも満たない現実
もっとも、投資家の目は厳しく、鋭くもある。信用力などの企業の価値を示すトヨタの時価総額が40兆円を超えたとはいえ、米国の巨大IT企業など海外勢との差は大きい。米アップルが一時世界で初めて3兆ドル(約350兆円)を突破。米マイクロソフトも2兆ドル(約230兆円)を上回り、EVトップメーカーである米テスラの時価総額も1兆ドル(115兆円)を超えている。
テスラの昨年の世界販売台数は約94万台でトヨタの10分の1。だが、テスラは稼ぐ力の売上高営業利益率でもトヨタや独BMWなどを上回り、業界トップだ。
テスラの勢いが止まらないのは、創業者のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、小型通信衛星で全地球をカバーするような宇宙開発からクリーンエネルギー、独自ブランドのスマホまで手がけて、人類の未来のために宇宙まで広げたダイナミックな「デジタル・マスク帝国」を描いており、相互に関連して一気通貫で同時進行させているところに市場の過剰ともいえる期待が集まっている。
■年収が上がらぬ日本の会社員。自動車株の運用で懐を温めることは可能か?
さて、株式投資は「安い時に買って高い時に売る」というのがセオリーだが、プロの投資家ならともかく、個人が投資先を選別して、その銘柄を売買するタイミングは実に難しい。国税庁の発表によると、一般サラリーマンの平均年収は433万円ほど。30年前と比較すると上がるどころか逆に下がっているという。
今春闘での「3%賃上げ」も悩ましいが、それでもかぎられた資金で真っ当に私腹を肥やすには株式投資も選択肢のひとつだろう。
では、海外勢に比べ見劣りする日本企業のなかでも日本経済をけん引する自動車メーカーだが、この先国内外の投資家から評価されて、株価上昇が期待できるのかどうか。相場の予想に 「絶対」はないが、成熟した産業の大型株の「大化け」は難しい。
それでも世界的な環境規制と脱炭素化に向けた動きを背景に、将来はEVが電動車の主役となるのは確実だ。こうしたなかで、EV開発で先行する海外メーカーを追う立場で、「夢の電池」と呼ばれる車載電池の開発計画が実現すれば、国内メーカーも大きな飛躍となる可能性はある。
■トヨタのほかにも実力伯仲の日本車メーカー。長期保有によるリターンに利あり??
そこで注目の銘柄は、仏ルノーとアライアンスを結ぶ日産と三菱。日産は小型で安全性も高い「全個体電池」の開発を急いでいる。2030年度までに3社で35車種のEVに搭載し、内田誠社長も「ガソリン車並みの価格に下げる」と宣言した。
日産はカルロス・ゴーン被告の逮捕後、無配に転落、株価も暴落したが、黒字転換で復配も視野に入る。低位株のマツダや三菱自などと同様に割安感が強く、今後上昇する余地が大きい。少額投資で大きな利益を得られるメリットもある。
一方、高値圏で底堅い値動きのトヨタやスズキ、さらに、ホンダやスバルなどは目先のリターンを追い求めて短期間で売買するよりも長期間保有する銘柄として注目したい。このうち、トヨタの2021年3月期の年間配当は240円。今期(中間は120円)はさらに業績が上向くとの見通しで、増配も期待できる。
日本経済はデフレ脱却の遅れから低金利時代が続く。配当金を積立預金のつもりで資産を増やす考え方も安心感がある。ただ、経営環境の不透明さが増すなかで、自動車などの景気敏感株は材料の出尽くしや業績の下方修正などで急落しやすいほか、同じ業種の銘柄でも株価の動きがリンクしない場合も少なくない。
経営者側にはより一層のきめ細かい情報開示が求められており、銘柄の見極めにも不祥事の温床になる隠ぺい体質の企業はリスクも高く、要注意だろう。
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