■革新モデルはセンチュリーに近づいた5代目
筆者が選ぶマジェスタの革新モデルは、5代目(S200型)だ。全長は4,995mm、全幅1,810mmと歴代マジェスタの中で最も大きい。エンジンには4.6LのV型8気筒が収まり(AWDは4.3LのV8)、当時のレクサスLSと肩を並べた。
販売台数は約17万台と奮わなかったが、マジェスタの完成形をこのモデルに見たような気がする。
セルシオやクラウンは、オーナー自身が運転者となるドライバーズカーであり、その最高峰を目指したクルマだと思う。それ故に、トヨタ最高価格のセンチュリーとは別次元で考えられる。ドライバーズカーのクラウンとショーファーカーのセンチュリー、トヨタには2つの最上級が存在するのだ。
5代目マジェスタには、Fパッケージという4人乗り仕様が設定された。セルシオからドライバーズカーの最高位を譲り受けたマジェスタが、センチュリーの独擅場であったショーファードリブンの域に入ろうとしたのだ。
この変化は、マジェスタが車格を上げる良い転機だと感じた。また、当時はレクサスが国内で開業し約5年となる頃である。トヨタディーラーにいると、高級車はレクサス、トヨタはそれ以下を販売する場所のような雰囲気が漂い、現場では格差を感じる時期でもあった。
こうした中で、マジェスタはトヨタ販売店のスタッフに、「レクサスに負けず、まだまだ高級車を売ってくださいよ」と語りかけているように感じたのだ。
レクサス導入で見失いかけていたトヨタ店の行き先、そしてマジェスタ自身の進むべき方向を、しっかりと定めた5代目マジェスタ。このクルマが、マジェスタの完成形であり、販売目線から見た革新モデルだと思う。
現在は消滅してしまったマジェスタの名称だが、きっとまた戻ってくると信じている。トヨタのフラッグシップはマジェスタであってほしいし、マジェスタでなければならない。平成の最高級車が、新たな形で令和の最高級車として登場することを期待する。
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