■急速充電にも対応しており使い勝手◎
その一方で乗り心地も快適だ。サスペンションが柔軟に伸縮して、突き上げ感を抑えた。売れ筋のPとGは20インチタイヤを装着するため、時速40km以下では路上の細かなデコボコを伝えるが、タイヤが路上を跳ねることはないから粗さも感じさせない。
足まわりは良く曲がる性格で、乗り心地にも配慮したから、スポーティに走るとボディの傾き方が拡大する。ドライバーが身構える場面だが、挙動の変化が穏やかに進むため、不安定な挙動には至らない。カーブを曲がっている最中に、アクセルペダルを調節することで、車両の進行方向を内側に向けるコントロールもしやすい。
この奥の深い運転感覚は、アウトランダーの醍醐味だ。スポーティなクーペやセダンは、低重心だからボディの傾き方が本質的に少ないが、アウトランダーでは、それとは異なるSUV独自の操る楽しさを味わえる。
ドライブモードも装着され、エコ/パワーモードの切り替えに加えて、峠道などに適したターマックモード、悪路向けのグラベルモード、路面抵抗の大きな泥道や深雪に適したマッドモード、雪道用のスノーモードが備わる。
例えば悪路でグラベルモードを使うと、ホイールの空転や横滑りがある程度は許容され、泥を跳ね上げながら力強く前進できる。この時には後輪側に装着されたモーターの高い駆動力を生かして、車両を積極的に内側へ向ける運転も行える。
このようにアウトランダーは、舗装路から悪路まで、さまざまな場面で優れたコントロール性を発揮する。不意の降雪に見舞われた時も安心だ。
そしてアウトランダーの特徴として、プラグインハイブリッドの性能も注目される。駆動用電池の総電力量は20kWhと大きく、PやGの場合、1回の充電で85kmを走行できる(WLTCモード)。
従って日常的な短距離の移動では、ガソリンエンジンを始動させず、電気自動車のようにモーター駆動だけで走ることも可能だ。先代型に比べると、モーター駆動時の動力性能も向上した。駆動用電池が充電された状態なら、アクセルペダルを深く踏まない限り、発電用のエンジンは始動しない。
長距離を移動する時は、エンジンで発電させるハイブリッドで走り、短距離では電気自動車という使い分けが可能だ。ユーザーにとって利便性が高い。
特に日本の場合、総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住む。集合住宅では充電設備を設置しにくく、電気自動車の所有も難しいが、プラグインハイブリッドなら融通が利く。設備のある場所で充電して、それができない時は、エンジンで発電しながらハイブリッド走行を行えるからだ。
この時に役立つのが急速充電器への対応だ。三菱の販売店や高速道路のサービスエリアなどで手軽に充電できる。約38分で80%の充電が可能だから、70km前後は走行できる。目的地の近くに急速充電器があれば、片道70kmの距離を電気自動車として走れる。
そしてプリウスPHVは急速充電器を使えるが、国産ライバル車となるRAV4・PHVとレクサスNX450h+は対応していない。アウトランダーのPHEVなら、さまざまな使い方ができるわけだ。
■この装備なのになんでこんなに安くできるんだ
価格が割安なことも特徴になる。アウトランダーPの価格は532万700円に達するが、機能や装備と価格のバランスを考えると、割安と判断できる。
例えばRAV4・PHVブラックトーンの価格は539万円だから、アウトランダーPHEVの「P」は約6万円安い。それなのにアウトランダー「P」には、RAV4・PHVブラックトーンが装着しない急速充電機能、3列目のシート(7人乗り)、本革シート、BOSEプレミアムサウンドシステムなどが標準装着される。
このような特徴があるため、アウトランダーPHEVの受注台数の内、約80%を最上級グレードの「P」が占めている。またユーザーの80%が、新たに三菱のPHEVを購入したという。先代型からの乗り替えだけでなく、他社のクルマを使うユーザーも多く購入している。アウトランダーの魅力の高さを物語るエピソードだ。
三菱の関係者によると「今でも三菱車を(単に「三菱だから」ということで)敬遠するお客様は少なくない」とのことだが、アウトランダーの受注状況を見ると、三菱のイメージも大きく変わり始めている。
今後は軽自動車サイズの電気自動車も登場するから、地道に販売していけば、ファンは着実に増えていく。三菱はSUVと電動車で長い実績を持つメーカーなので、これからいよいよ本領が発揮される。アウトランダーと併せて、今後の三菱にも期待したい。
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