近年よく聞くようになったクルマの「リセールバリュー」という言葉。ユーザーが一度購入したクルマを、買取りや下取りなどで手放す際に、どの程度の価値が付くのか(残るのか)を表す指標だ。
残価設定ローンの利用数が増え、注目度が高まるリセールバリューだが、どのようなクルマのリセールバリューが高いのだろうか。本稿では、リセールの高いSUVカテゴリーに絞り、リセールナンバーワンを紹介していく。また、今後発表されるBEVでは、リセールがどうなっていくのか、未来の動向も考えていきたい。
文/佐々木 亘
写真/トヨタ
■リセールバリュー=中古車の人気
リセールバリューとは平たく言えば中古車売買時の「価値」だ。基本的に需要と供給の関係で値段が決まる。その中古車を求めるユーザーが多く、その車種が市場に並ぶ数が少なければリセールバリューは高くなり、その逆では供給過多としてリセールバリューは下がっていく。
一般的には新車の人気が、そのまま中古車の人気に反映されることが多く、人気の新車はリセールバリューが高くなる傾向にあるのだ。しかし一方では、新車が売れすぎた反動で中古車も溢れ出し、価値が下がるというリスクも抱える。
また、一部の車種やグレードでは、希少性の高さから、長い間高値で取引されるクルマがあり、このようなクルマはリセールバリューが高い。
では、実際に今売れているSUVのリセールバリューは、どの程度なのか見ていこう。
■高いトヨタの残価率、追随できるライバルは?
リセールバリューを考える上では、残価設定ローンの「残価率」を参考にする。各販売店の圧倒的なデータ量から導き出された残価率は、しっかりとその時のリセールバリューを反映しているのだ。
残価率が高いクルマが多いのはトヨタだ。国内はもちろん、海外でも人気が高いトヨタのクルマは、総じてリセールバリューが高い。
まず不動のNo.1はランドクルーザーである。ランドクルーザー300の残価率は驚異の70%。最も廉価なGXグレードでも65%を保証している。
次いで高残価なのが、ランドクルーザープラドとハイラックスだ。両車ともに65%と高い数字を長期間維持している。ちなみに、リセールバリューが高いと人気があるアルファードの残価率も65%だ。このあたりが「リセールバリューが高い」と言われるラインとなる。
残価率60%となるのが、ハリアー、RAV4(PHVを除く)、カローラクロスだ。RAV4 PHV、ヤリスクロス、C-HRが55%、ライズが最も低く50%となる。
では、ライバルはどうだろうか。2021年に人気の高かった、各社の主力SUVの残価率を見ていこう。
比較的高いのがホンダ ヴェゼルの52%だ。次いでマツダ CX-5の50%、日産 キックス、スバル フォレスターが49%と続く。三菱 アウトランダーPHEVは47%となった。RAV4も同様だったが、プラグインハイブリッドはリセールが下がる傾向にあるようだ。
意外だったのがスズキ ジムニーの45%だ。スズキは残価設定ローンに慎重な姿勢なのが見える。実際に中古車市場では、かなりの高値で取引される常連車種なだけに、もう少し高めの数字を期待していた。
おおむね50%程度(車両本体価格半分がローン期間終了後の残価)となるのが、SUVの基準値と考えていいだろう。新車購入時に残価率を知りたい人は、見積書の最終回支払額÷車両本体価格(オプション価格抜き)×100をすると、残価率が分かる。是非計算してみて欲しい。
※取り上げた残価率は、すべて3年契約の残価設定ローンのもの(残価率は販売店ごとに異なり、今回の数字は筆者調べの一例)。
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