ブレーキランプ側方にある謎の突起 その名も「ボルテックスジェネレーター(渦巻発生器)」の役割とは?

ブレーキランプ側方にある謎の突起 その名も「ボルテックスジェネレーター(渦巻発生器)」の役割とは?

 ドアミラーの付け根やテールランプに、3~4センチほどの筋状の小さな突起物が付いているクルマがあります。「ボルテックスジェネレーター」と呼ばれるもので、走行安定性に効果があるアイテムです。トヨタ車を始めとして多くの国産車に装備されていますが、欧州車ではあまり採用されていません。

 「ボルテックスジェネレーター」とはどんなアイテムなのかご紹介しつつ、なぜ欧州車では採用例が少ないのか、考察します。

文:吉川賢一
写真:TOYOTA

【画像ギャラリー】高速直進安定性を向上させる「エアロスタビライジング」を装備する主なトヨタ車たち(30枚)画像ギャラリー

高速直進安定性を改善するアイテム

 ボルテックスジェネレーター(渦巻発生器)は、その名が示すとおり、空気の渦を生み出すことが目的です。元々は航空機の飛行安定性向上のために開発された技術アイテムですが、高速走行中の自動車にも効果があるということで、昨今は多くの量販車に採用されており、なかでも、背の高い国産ミニバンや軽自動車、商用バンへの事例が多いです。

 特に積極的に導入しているのがトヨタです。「エアロスタビライジングフィン」という商標で、2010年頃から多くのモデルに採用しており、新型ランドクルーザーや新型ノア/ヴォクシーにも採用されています。

 「ボルテックスジェネレーター」とネットで検索すると、ゴルフボール表面の突起や、新幹線のパンタグラフについた模様などが出てきますが、ゴルフボールの場合は空気抵抗を下げて飛距離を伸ばすこと、新幹線の場合は風切り音といったノイズを低減することが目的であり、どれも原理的には同じですが、空気の力を使って、高速直進安定性を改善することが狙い、というクルマの場合とは目的が異なります。

ボルテックスジェネレーターが、ドアミラーやテールランプについているのは、成型がしやすい樹脂成型部品だから。ボディの鉄板で凹凸を作るのは大変なことなのだ

具体的には、リアの尻振りを改善

 クルマが高速走行をしているとき、空気は、フロントからリアへとボディ表面に沿って流れていきます。その際、サイドミラーなどの凹凸がある場所や、流れてきた空気が剥がれるルーフエンドでは、空気の流れが複雑になり(乱流)、これがクルマの後方で渦として残ってしまいます。この渦は、ボディを後方へ引っ張る力を発生させるため、ボディ後端が左右に振られてしまい、クルマがまっすぐに走らず、不安定な運転フィールとなってしまいます。

 クルマが空気中を走っている限り、この乱流は防ぎようがありません。そこで、渦を意図的にコントロールして、空気抵抗にならないように流れを変えようと開発されたのが、ボルテックスジェネレーターです。

 ボルテックスジェネレーターは、装備される部位によって渦の形状は異なりますが、突起物によって空気を縦に回すような、螺旋階段のような流れを発生させています。これによって、高速走行したときの空気抵抗を減らし、リアの尻振りが改善されるのです。

 トヨタは「エアロスタビライジングフィン」の効能として、操舵時の応答性や、手応え向上、ヨーダンピング向上などがあるとしていますが、それらは直進性向上をしたことで、副産物として得られた効能とも考えられます。

 また、ボルテックスジェネレーターには市販品もありますが、どの位置に、どれくらいのサイズで、いくつ付けたらよいのかは、空力シミュレーション等で空気の流れを正確に把握できなければ、効果的に取り付けることはできません。簡単な形状に見えますが、緻密な計算によって装備されているものなので、空力シミュレーションなしに効果を再現することは難しいです。

高速走行中に、リア尻振りが起きやすい、背の高い国産ミニバンや軽トラ、商用車などでは、とても有効なアイテムだ

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