欧州車が採用していないのは、性能設計の考え方が違うから
ボルテックスジェネレーターが「高速走行の安定性を高めるアイテム」なのであれば、日本よりも高速での性能が求められる欧州車には必須アイテムのように思えますが、冒頭で触れたように、欧州車での採用例はごくわずかです。
かつては、ルノー・ルーテシアスポールのリアスポイラーに装備されていましたが、現在はメルセデスやBMW、アウディ、フォルクスワーゲンなどで採用事例がありません。その理由は、欧州車と国産車では、高速直進安定性の性能設計の考え方が、まったく異なるからです。
日本では、燃費を稼ぐために、幅が細めの低燃費タイヤが主流です。そのため、一般道では世界一ともいえる低燃費を実現しますが、高速走行が苦手でフラフラしやすいことが稀に課題となります。そうしたクルマにおいては、シャシー(タイヤやサス等)はそのままでも、直進安定性を改善できるボルテックスジェネレーターは、たいへん価値があります。
一方の欧州車は、幅が太めでしっかりとグリップするタイヤを装着します。時には200km/hオーバーという超高速で走行するシーンもある欧州車では、シャシーがしっかりしないと不安で走れないからです。
フォルクスワーゲンの「ゴルフ」も、17インチは225幅(安いグレードの16インチだと205幅)と、車格に対しては立派なサイズを履いていますが、このしっかりとしたシャシーのおかげで、高速直進安定性は、ボルテックスジェネレーターに頼らずとも、高い安定性が確保されています。おそらく、欧州車メーカーでは、足りない直進安定性を空力で補填するのは非常に危険(空気の流れなんて不安定なものなので)、と考えているのでしょう。
ボルテックスジェネレーターで高速直進安定性を確保することはしていない欧州車ですが、空気抵抗を下げて燃費を改善することには注力しており、フロントタイヤ横の整流をするエアカーテンや、リフトフォースを減らすためのリアディフューザーなどを採用しています。また、ごく一部のスポーツモデルでは、電動リアスポイラーなども積極的に採用しています。
コストをかけずに性能向上できる「賢いアイテム」
ボルテックスジェネレーターがあるから高速直進安定性が優れている、というわけでもなく、これがなくても欧州車はしっかりとしたシャシーで高速直進安定性を確保できていますし、低燃費タイヤを履きながらも、ボルテックスジェネレーターによって高速直進安定性を確保している国産車も、日本の事情にあった賢い設計がなされている、といえます。
デザインがイマイチ、汚れが溜まりやすい(水が流れた跡ができやすい)など、デメリットもあるボルテックスジェネレーターですが、コストをかけずに性能向上できる「賢いアイテム」として、国産車では今後も採用されていくことでしょう。
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コメント
コメントの使い方国産車全てが採用してるかのように言ってるけどトヨタ車以外の国産車では一部の車種しか採用してないでしょ
それと欧州メーカーは空力で安定性を高めることは危険だからやらないとか言ってるけど
だったら何でリアディフェーザーや可動式スポイラーとか付けてんのよ?それら全て走行安定性高めるためのものです。欧州でも走行安定性向上のために空気の力使うの当たり前ですから変なこと書かないでください