親エスティマにはないディーゼルターボの設定も大きなヒット要因
また、2.2Lディーゼルターボエンジン仕様が設定されたことも、エミーナ/ルシーダがヒットする大きな要因となった。エミーナ/ルシーダの2.4Lガソリンエンジン車(親エスティマと同じエンジン)は、ボディサイズが5ナンバー枠であっても、5ナンバー枠の条件である「排気量2000cc以下」を越えていたので、3ナンバー車であったが、ディーゼル車は、車両寸法のみでナンバーが決まるため、排気量が2.2Lでも「5ナンバー」を取得することができたのだ。「5ナンバーのサイズ」も重要だが、「5ナンバーが付く」ことも、大きな意味があった。
また、親エスティマには4速ATしかなかったが、初期のエミーナとルシーダには、5速MTも登場。こちらはフロアシフトであったため、ウォークスルーの邪魔になってしまっていた。
徹底したコストカットが行われたエミーナ/ルシーダは、同じ「エスティマ」とはいえ、グレードによっては、内外装はもとより足回りに至るまで、上級路線の親エスティマとはかなり違うものとなっていたが、それでも日本市場では大いに支持され、2000年1月、2代目エスティマへ統合される形でその役割を全うした。
北米では一代限りで消滅
前述したように、北米向けとして開発された初代エスティマだが、実は日本のみならず北米でも販売は振るわず、エスティマは北米では初代モデルのみで消滅している。フロア下に2.4Lガソリンエンジンを寝かせて搭載したパッケージングでは、アメリカ人好みのパワフルなV型エンジンを搭載することができずに「力不足」と評価されてしまい、サイズも全幅1800mmあってもアメリカ人には狭かったようだ。
この初代エスティマ(※北米名プレビア)の実質的な後継車として、V6エンジンとより大きなボディを持った「シエナ(1997年~)」がいま、トヨタの北米ミニバンの主力となっている。シエナは、現在4代目。ハイブリッド車となり、全幅1990mm、全長5200mmのラージミニバンとして販売が継続されている。
エスティマブランドを引き上げた孝行姉妹エミーナ/ルシーダ。この子エスティマたちがいなければ、エスティマは日本でも「奇抜」なだけで終わってしまっていただろう。なにがなんでもヒットモデルへと導くという、トヨタの粘り勝ちとなったモデルでもあった。
【画像ギャラリー】元祖にして唯一無二の「天才タマゴ」 トヨタ「エスティマ」の歴代モデルと、初代の孝行姉妹「エミーナ」と「ルシーダ」(27枚)画像ギャラリー
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