トヨタ ターセル／コルサ／カローラII　昭和を流星のように駆け抜けたポップで実力派な3兄弟！

　若い読者にとって「タコII」と言われてもピンとこないかもしれないが、これはトヨタが過去に販売していたターセル／コルサ／カローラIIの3兄弟を総称したものだ。この3モデルは爆発的な大ヒット車種ではなかったものの、歴代モデルが安定した販売をマークしており、トヨタのエントリーカーとして縁の下の力持ち的な存在として長らく支え続けてきたのだ。

文：小鮒 康一／画像：トヨタ、ベストカーWeb編集部

実験的な初代モデルから始まったターセル／コルサ

　ターセル／コルサの初代モデルが登場したのは1978年8月のことで、当初はカローラIIが存在せず2兄弟車種となっていた。

　当時のトヨタのラインナップとしてはエントリーモデルとしてスターレットが存在しており、ターセル／コルサはスターレットよりもやや大きいボディを纏っていたが、両車の大きな違いはそこではなく“駆動方式”にあったのだ。

　ターセル／コルサよりも先の1978年2月にデビューしていた当時の現行スターレットはいわゆるKP61系というモデルで、駆動方式はFRとなっていた。

　一方ターセル／コルサはトヨタ車としては初となるFF、つまり前輪駆動レイアウトを採用しており、同じタイミングで同じ車格の駆動方式が異なる2モデルをラインナップすることで、前輪駆動化が商業的に失敗に終わってもダメージを最小限に留めるようにしていたのである。

　さらにトヨタは前輪駆動レイアウトでありながら、エンジンを縦置きとすることで、整備性の高さや不等長ドライブシャフトによるトルクステアの軽減を狙うなど、かなり慎重な姿勢をとっていたのだった。

流星ライナーが加わって3兄弟に

　ただユーザーは、ボディサイズに対して広い室内空間を実現できる前輪駆動レイアウトに対して概ね好意的であり、1982年5月に登場した2代目モデルからはカローラIIが新たに兄弟車に加わって3兄弟となった。

　そして1986年5月に登場した3代目モデルではついにエンジンを横置きとし、当時の流行だったリトラクタブルヘッドライトを採用した仕様や、1.5LSOHCターボエンジンを搭載したホットモデルも歴代で唯一設定されていた。

　その後に登場した4代目以降はホットなターボモデルはスターレットに任せ、タコII 3兄弟は1.3L～1.5Lクラスの実用的なハッチバック＆セダン（カローラIIは除く）となり、1999年8月に登場した実質的な後継車種であるプラッツにその座を譲り、5世代に渡る（カローラIIは4世代）歴史に幕を閉じたのだった。