内装はやはり「それなり」
ヤリスクロスの弱点として、よく指摘されるのが「SUVとしてはクルマが狭い」ことだ。ただ、これはヤリスクロスの特徴でもあるので、弱点とは言いきれない。もっと大きいクルマがほしいならば、カローラクロスを選べばよい(こちらのほうがコスパは優秀)。
筆者がヤリスクロスの唯一の弱点だと思っているのが、インテリアの質感だ。ヤリスクロスの(高い方から)「Z」 「G」 「X」(最廉価の※X“Bパッケージ”は除く)の各グレードの間には、巧みにヒエラルキーが付けられており、下位グレードになるほど、ダッシュボードのパネルや計器盤、メーターディスプレイのサイズ、シート表皮といった、インテリアの質感が徐々に下がっていく。実際、ヤリスクロスのインテリアの「プラスチック多め」の質感を指摘するユーザーは多い。
また、全車標準装備とあるディスプレイオーディオも、ベーシックグレードの「HYBRID X」 「X」 「B」は7インチの小さいサイズとなり、「G」以上で8インチ仕様となる。しかも、ガソリンの「X」だとマニュアルエアコンとなり、シートヒーターも無くなる。スピーカーも2個(「G」以上だと6個)だ。
ディーラーに展示されているモデルは、「Z」や「G」であることが多く、きちんと説明を受け、理解して購入していても、ベーシックグレードでは「こうなるのか」と、後で後悔する可能性もある。
ヤリスクロスは、最上級の「Z」(ガソリン2WDで202万円)であっても、ヴェゼルやキックス、ノートAUTECHクロスオーバーといったチョイ高SUVの質感には届かない。どちらがいいかはそれぞれの価値観によって違ってくるし、安ければ質感がそれなりとなることは当たり前のことではあるが、ヤリスクロスは「コスパがいい」とはいえ、ライバル車と比較して内装の質感で劣ることは、ヤリスクロスを検討する際に、注意しておきたいポイントだ。
ただ、それも「ヤリスクロスの強さ」の源
とはいえ、コストダウンをする部分を適切に選んで販売価格を抑え、また、巧みなヒエラルキーでユーザーに選択肢を与えているところは、さすがはトヨタだといわざるを得ない。選択肢を広げることでユーザーの裾野を広げて、多くの人に買ってもらって人気車となることで、さらに多くの人に認知してもらうことができる(そしてさらにユーザーが増える)。
SUV人気はまだまだ衰えるところを知らず、同クラスにヤリスクロスの脅威となる新モデルが登場する気配もない。ヤリスクロスの快進撃はまだまだ続きそうだ。
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