すべての国産車はイタ車に通ず!? 感嘆を禁じ得ない和製イタリア車列伝

■Part3 快楽エンジン部門

トヨタ LFA。2010年12月から2年間、500台限定で生産。搭載する4.8L V10はNAながら560psを発生していた
トヨタ LFA。2010年12月から2年間、500台限定で生産。搭載する4.8L V10はNAながら560psを発生していた

 イタリアの快楽エンジンといえば、かつてのフェラーリやアルファロメオが代表的。つまり自然吸気の高回転高出力エンジンである。

 日本も、レーシング技術を応用した高回転高出力エンジンに関しては、イタリアに引けを取らない。その頂点に君臨するのは、トヨタ(レクサス)がプライドをかけて開発したLFAの4.8L、V10自然吸気エンジンだと断言したい!

 最高出力は560馬力。それを8700rpmで絞り出していたのだから、まるでフェラーリだ。しかもサウンドは天使の咆哮!

 車内に響く完全調律された超絶快音は、フェラーリの快音に魂を奪われてきた者をして、「負けた……」と思わせた。実は国産車は、快楽エンジンの部門で、密かにイタリアを超えていたのだ!

 マツダのロータリーエンジンも負けてはいない。フィーリングの快楽性に関しては、ターボ付きのRX-7より、自然吸気のRX-8のレネシスロータリーがスバラシイ。甲高く響く「ピイィィィィィ〜〜〜ン」という高周波サウンドは、ロータリーならではのものだった。

マツダ RX-8。自然吸気に戻したことで、サウンドは高く澄んだものになった!
マツダ RX-8。自然吸気に戻したことで、サウンドは高く澄んだものになった!

 高回転高出力エンジンといえばホンダ。さまざまな快楽エンジンを開発してきた。

 直4では、2代目インテグラタイプRがベストだ。ノーマルでも充分気持ちよかったが、N1レース仕様のサウンドを聞いてビックリ仰天。完全に4気筒のフェラーリだった! 高回転高出力を極めれば、回答は同じものになるのだと納得した。

 1990年代のホンダ直5も、すばらしい快楽エンジンだった。アスコット/ラファーガの縦置き直列5気筒はSOHCながら、どこまでも果てしなく滑らかに吹け上がった。

 ホンダV6にも、快楽系の傑作は存在した。個人的には初代NSXより、最終レジェンドの3.5L自然吸気V6を推す。

 ハイブリッドによりモーターのアシストを受けるが、エンジン単体のフィールがとんでもなくよかった。2代目NSXのV6ツインターボより、快楽では自然吸気の勝ちだった!

 そして現行モデルからは、レクサスLCの5L、V8を選出したい。コイツはまさにLFA譲りの快音と言っていい! スゲエッ!

レクサスLC500(トヨタV8)。いまどき超ゼイタクな自然吸気V8エンジンを搭載。そのサウンドはLFA譲りの絶品だ。オープンで楽しめば天上界!
レクサスLC500(トヨタV8)。いまどき超ゼイタクな自然吸気V8エンジンを搭載。そのサウンドはLFA譲りの絶品だ。オープンで楽しめば天上界!

 スカイライン400RのV6ターボもなかなかイイ。どこかマセラティ・ビトルボを彷彿とさせるドッカンターボパワーがさく裂する。

 ターボとして唯一、快楽エンジンのラインナップに入れさせていただきました。これが積まれる新型フェアレディZが楽しみだぜ!

スカイライン400R(日産V6ターボ)。オートサロンで披露された新型フェアレディZにも積まれるこのエンジン、ターボとしては世界で指折りの官能性アリ!
スカイライン400R(日産V6ターボ)。オートサロンで披露された新型フェアレディZにも積まれるこのエンジン、ターボとしては世界で指折りの官能性アリ!

■まとめ

 かつて三菱GTOが登場した時、そのデザインやイメージカラーの赤から「和製フェラーリ」と呼ぶ声があったが、そこには「ニセモノ」という意が込められていた感があった。

 しかし本稿で取り上げたクルマは決してニセモノではなく、あくまでイタリア的な美点を持った国産車たち。しかも、本家を上回った傑作も存在している!

 なかでも現行ロードスターの美、初代ワゴンRの合理性、そしてLFAの超絶サウンドは特筆に値する。開発者たちはイタ車にあこがれ、イタ車を超えたのだ! スバラシイ! ビバ! 和製イタリア車。


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