すべての国産車はイタ車に通ず!? 感嘆を禁じ得ない和製イタリア車列伝

■Part2 現代アート部門

日産 ジューク(初代)。いまさらだがヘッドライトは下の丸形のほうなので、念のため(2010年)
日産 ジューク(初代)。いまさらだがヘッドライトは下の丸形のほうなので、念のため(2010年)

 イタリアは芸術の国。フィアット・ムルティプラやランボルギーニ・カウンタックをはじめとして、「なんだこれは!」と叫びたくなる、芸術的で難解なデザインのクルマは数多い。

 一方で国産車にも、現代アート的なクルマはしっかり存在する。たとえば初代ジューク。ムルティプラ同様、ヘッドライトが上下4個あるように見える。国内ではその「なんだこれは!」なデザインが嫌われて不振だったが、海外では絶賛され、多くのフォロワーを生んだ。

 三菱のダイナミックシールドも、その流れだ。eKクロスのインパクトある顔つきは、まさに現代アートそのもの。違和感の先に、無限のフロンティアが広がっている!

 ヤリスの毒虫顔も、違和感タップリで現代アート的だ。毒虫が世界で絶好調なのだから、挑戦の勝利である。

 超小型車のiQやツインも、ある意味「なんだこれは!」な芸術だ。その超寸詰まりフォルムは、スマートとは別種のチョロQ系。ここまで全長を短くすればアッパレだ。

 そして日本は、カウンタックのように、ドアが上に開くクルマもちゃんと作っている。しかもサイズがメッチャ小さい! セラは登場時、世界最小のバタフライドア車だったが、AZ-1のガウルィングがそれを塗り替えた! こんなクルマ、日本以外、冗談でも作らないっしょ?

マツダ AZ-1。まさか本当にこんなクルマを作るとは……。マツダ、凄すぎる(1992年)
マツダ AZ-1。まさか本当にこんなクルマを作るとは……。マツダ、凄すぎる(1992年)
トヨタ セラ。当時スーパーカーのアイコンだった上開きドアを、スターレットベースで実現。凄ぇゼ(1990年)
トヨタ セラ。当時スーパーカーのアイコンだった上開きドアを、スターレットベースで実現。凄ぇゼ(1990年)

●現代アート機能美部門(初代パンダ系)

スズキ ワゴンR(初代)。軽自動車最大の弱点だった室内の狭さを、全高を高くすることで解決した革命的モデル。初代パンダの合理性を一歩先に進めた(1993年)
スズキ ワゴンR(初代)。軽自動車最大の弱点だった室内の狭さを、全高を高くすることで解決した革命的モデル。初代パンダの合理性を一歩先に進めた(1993年)

 自動車デザイン界の巨匠・ジウジアーロ氏の傑作の系譜に、「折り紙細工デザイン」がある。初代ゴルフ(1974年)や、初代パンダ(1980年)がその代表。どちらも極限の合理性や機能性を追求した作品だった。

 が、それから遅れること約20年。日本で、それを超える機能美デザインが誕生した。初代ワゴンRである。居住空間の上下方向への拡大を突き詰めたこのクルマは、軽トールワゴン隆盛時代を切り開いた、ジウジアーロもビックリの大傑作だ。

 そのほか、初代パンダ系の機能美は、初代デミオ、2代目キューブ、ホンダe、あるいはイグニスなどにしっかり生きている。どれもフォルムはシンプルな箱型だが、よく見ればただの箱ではなく、移動する機械であることを主張している。かつ、小さいサイズでできるだけ広い居住空間を取ろうとしているのだ!

 これらの傑作たちは、機能を突き詰めた先に美と実用性の両立があると教えてくれる。ジウジアーロ先生ありがとう。

●現代アート失敗(?)部門

スズキ X-90。クロカン4WDとオープン2シータースポーツを合体させたが、この組み合わせは「凶」と出てしまった(1995年)
スズキ X-90。クロカン4WDとオープン2シータースポーツを合体させたが、この組み合わせは「凶」と出てしまった(1995年)

 現代アート的な驚きのあるデザインなら、なんでもいいというわけではない。挑戦には失敗が付き物だ。

 スズキのX-90は、クロカン4WDとオープン2シータースポーツカーを融合した、野心的なクロスオーバーSUVだったが、あまりにも野心的すぎた。ヴェロッサは日本車の殻を破り、ダイレクトにアルファロメオ的な造形に挑戦したが、見事に散った。

 そしてミラージュディンゴのフロントフェイスは、見た瞬間「えっ!!」とビックリさせる違和感にあふれている。当時あまりにも違和感が強すぎて、克服できる人が少なすぎた。いま見るとそんなに悪くないのですが!

次ページは : ■Part3 快楽エンジン部門

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!