純正でも対向車が悶絶…なぜクレームが増えたのか!? LEDライトの眩しさの正体

■独特なデザインと構造も原因となっている可能性

タクシーの場合、LPGタンクなどの関係で重心がどうしてもリア寄りになるため、光軸も上になりがちだ。乗客がいる場合さらにリアに重さがかかることになる(James Thew@AdobeStock)
タクシーの場合、LPGタンクなどの関係で重心がどうしてもリア寄りになるため、光軸も上になりがちだ。乗客がいる場合さらにリアに重さがかかることになる(James Thew@AdobeStock)

 JPNタクシーのボディ形状と構造が影響している可能性も高い。JPNタクシーは全長4400×全幅1695mmとコンパクトだが、全高は1750mmもある。

 しかもリアのホイールアーチ後端までルーフが伸びて、そこから急角度でバンパーへと斜めに落ちるデザインで、ボディ形状からすれば重心が高く、リア荷重も多めとなるシルエットだ。

 ハイブリッドのバッテリーは車体のほぼ中央フロアパネルの下にマウントされており、低重心化に寄与しているだろうが、PHEVやEVほど大容量ではないため効果は限定的だ。

 そして高いルーフがリアのオーバーハング部分まで伸び、LPGのタンクがリアシートの後ろにマウントされていることが重心を高めてしまっている可能性が高い。

 後席に乗客が乗った場合、その重量のほとんどはリアタイヤに掛かることなり、トランクに手荷物を載せたり、燃料のLPGを充填すればリアサスペンションは沈み込む。

 それによってフロントタイヤに掛かっていた荷重もリアタイヤに移動するためフロントサスペンションは伸びることでヘッドライトの光軸は上昇してしまうことになる。

道路の勾配によっても光軸は上下する。JPNタクシーだけでなく、LEDライト搭載車にはまだ改善の余地がありそうだ(xiaosan@AdobeStock)
道路の勾配によっても光軸は上下する。JPNタクシーだけでなく、LEDライト搭載車にはまだ改善の余地がありそうだ(xiaosan@AdobeStock)

 これではカットラインの意味がなくなり、光軸がヘッドライトの高さより上に向ってしまうことになってしまうのだ。車検を取得する際には後席に乗員はおらず荷物もない。燃料も満タンにしている可能性は低いだろう。その状態でヘッドライトの光軸は定められているハズだ。

 だが前述のとおりヘッドライトには光軸を調整するレベライザーが備わっている。これは国際的な保安基準で装備が義務化されているものでもある。JPNタクシーの場合、上級グレードの匠にはオートレベライザーが備わっている(ベースグレードの和は手動式)。

 オートレベライザーが装備されていれば対向車や先行車のドライバーは眩しさから開放される、と考えるのは早計だ。

 前述のとおり後席に乗客が乗車したり、たくさんの手荷物を積んだり燃料を満タンにしてリア荷重が増えれば、レベライザーが光軸を調整してくれても、僅かな勾配や走行中に前後の荷重移動が起こるたびにヘッドライトの配光はチラチラと揺れて、周囲のドライバーの視界は幻惑されることになる。

 これがJPNタクシーのヘッドライトの眩しさの原因であろう。できれば今後のマイナーチェンジでこの配光特性を改善してもらえると、周囲のドライバーは眩しさから開放されて、快適に走れるようになるハズだ。

 なのでトヨタだけでなく、LEDヘッドライトを採用している自動車メーカーには、さらなる熟成をお願いしたいところだ。

【画像ギャラリー】ぼくには君が眩しすぎる!!(明るさ的に) 目が眩むほどの光量で照らすLEDヘッドライトの眩しさ(9枚)画像ギャラリー

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