ソニー/ホンダ連合とアップルカーが激突! アップルカーはどうなるのか?

■誰がアップルカーを作るのか?

 ではアップルカーは、一体誰によってどうやって作られるのだろうか?

 先週、海外のIT系メディアが報じたところによると、アップルの最大のサプライヤーである2社、台湾Foxconnと中国のLuxshare Precisionが、アップルカーの生産を行うのではないかとの観測が出た。

 両社とも電子機器の受託製造サービス(EMS)業務を行う会社で、アップルと関係が深い。

 あなたが使っているかも知れないiPhoneやAirPodsは、アップルブランドのもとでFoxconnやLuxshare Precisionが作っているものである可能性が非常に高い。そしてどちらの会社も、EVビジネスへ参入している、もしくはしようとしている。

 Foxconnは日本では「シャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)科技集団の傘下企業」という方がわかりやすいかもしれない。

 2020年に自力でEV開発を始め、2021年10月にはSUV、セダン、バスの3つのBEVコンセプトモデルを披露。3月には台湾高雄市でEVのバスを路線バス会社に納入した。

 また各地域で提携を進め、アメリカのフィスカーと組んで3万ドルを切るEVを共同開発、2024年にアメリカでの販売も目指している。

 中国のLuxshare Precision(立訊精密工業)と組むのは、中国市場での売上が全体の20%を占めるアップルにとっては、地産地消の考え方からも、経済安全保障的な考えからも、合理的かつ現実的な判断だ。

 Luxshare Precisionは、先月EV生産への投資を発表した直後に、2000億円相当以上の増資を行なって資金調達することも伝えられたので、こちらもEV生産に向けての本気度は相当高いものとみられる。

 だがこれまでは、アップルは伝統的な自動車会社との提携を模索してきていた。

 イギリスの有力経済紙によると、アップルは日産と自動運転車プロジェクトにおける提携について数ヶ月にわたる協議を進めた結果、経営上層部同士による協議には至らず、ブランド戦略についての意見の相違のため2021年2月に交渉が打ち切られたという。

 また韓国のヒョンデ(現代自動車)も、2021年の1月にアップルと自動運転車について協議をおこなっていると発表したものの、その後もはや協議していないことを明らかにした。

 伝統的な自動車会社からすると、アップルカー生産に参画することは、自らがこれまで築き上げた自社のブランドと競合して自分で自分の首を絞めたり、その価値を毀損してしまったり、単なるアップルの下請け会社になってしまうリスクを取るというかなり勇気のいる決断だ。

 だがEMS会社は、自社ブランドやフランチャイズにあまりこだわらず、柔軟にどのパートナーとも手を組む、いわゆるオープンネットワークプラットフォーム作りに慣れている。

 またアップルカーも含めたEVは、これまでの機械工学のかたまりとしての自動車とは異なり、むしろ電子部品のかたまりであり、その生産にあたっては従来の伝統的な自動車メーカーと協働するよりも、台湾や中国のEMS会社と組む方が理にかなっているとアップルが考えても全くおかしくない。

 ただし、「試作車を作るのは比較的簡単だが、量産車を作るための工程を作ることはクルマを作ることよりも難しい」とイーロン・マスクは述べていて、自動車の生産ノウハウを持たないEMS会社がそのハードルを越えるのは簡単ではないかもしれない。

 バッテリーの供給元に関しては、米国で販売されるアップルカー用にはLGエナジーソリューション、SK On、サムソンSDIが有力なサプライヤー候補と言われており、また中国で販売されるアップルカー用にはCATLとBYDが有力と伝えられている。これまではパナソニックの名前も取り沙汰されてきた。

次ページは : ■アップルカーの開発進行状況は昨年後半から加速?

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタセリカ復活計画、始動!? 新型ホンダフリードの獲れたて新情報も盛りだくさん!【ベストカー6月10日号】

トヨタ自動車の壮大なるBIGネーム復活計画の第四弾は……なんとトヨタセリカ!? 新型ホンダフリードの注目情報や、レーシングドライバー岩佐歩夢選手の新旧ホンダスポーツカー試乗など、GW明けから全力投球な企画だらけです!