■日本のお家芸のコンパクト&ミニバンの育成失敗は?
【ホンダストリーム → ジェイド】
2000年に発売されたホンダストリームは、ワゴン風の3列シートミニバンだった。全高は1590mmと低めに設定され、ミニバンでありながら運転感覚が腰高にならない。
直列4気筒1.7Lと2Lのエンジンも十分な動力性能を発揮して、峠道をスポーティに走れた。全幅が5ナンバーサイズに収まるから取りまわし性も良好だ。
そして背の低いミニバンだから、3列目のシートは全高が1800mmを超えるステップワゴンなどに比べて窮屈だが、大人6名の乗車を一応は可能にした。
3列目を畳むと荷物も積みやすく、ミニバンと呼んで支障のない機能を備えた。
2006年には2代目にフルモデルチェンジしている。ホンダの低床設計技術を活用して床を低く抑え、2WDの全高を1545mmとした。
3列シートのミニバンでありながら、立体駐車場を利用できる。1/2列目のシートは頭上と足元の空間が広く、3列目も床を平らに仕上げて、狭い空間ながら快適に乗車できるように配慮した。
ところがストリームの後継として発売されたジェイドは、中国などの海外市場も視野に入れた3ナンバー車で、空間効率が大幅に悪化した。
3列目は頭上と足元が5ナンバー車のストリームよりも窮屈で、大人の6名乗車は難しい。
2列目シートも座面の奥行が1列目に比べて55mm短く、大腿部のサポート性が悪い。結局、満足に座れるのは1列目だけで、人気を低迷させた。
ジェイドは2018年のマイナーチェンジで、3列目を取り去って2列目の座り心地を向上させた5人乗りの2列仕様を加えた。この居住性は快適だが、遅きに失した印象が強く、売れ行きは依然として低迷している。
【三菱コルト → ミラージュ】
コルトはもともと三菱の主力乗用車だ。1960年に三菱500が発売され、その後継となるコルト600が1962年に登場した。
さらにコルト800、コルト1000、1969年にはヒット作となったコルトギャランに至る。この後はギャランが主力車種になった。
そして2002年に、コルトがコンパクトカーで復活した。空間効率が優れ、2500mmのホイールベース(前輪と後輪の間隔)によって車内も広い。ATはインパネシフトで、前席にはベンチシートも用意された。
さらに「カスタマーフリーチョイス」という画期的なシステムも導入した。全車に標準装着される装備以外は、すべて自由に選べるものだ。内装はシンプルで、外観はスポーティとか、その逆も可能だった。
ただしこの方法では、割安な特別仕様車などを設定できない。特別仕様車は一部のオプション以外、装備の選択肢を抑えることで、価格を割安にしているからだ。
その結果、カスタマーフリーチョイスは定着しなかったが(本来なら価格の高いパジェロやデリカD:5で始めるべきだった)、コルトは意欲的な商品であった。
これが2012年に発売されたミラージュになると、ボディが小さくなった以上に後席が狭く、内装の質も下がって乗り心地は硬くなった。燃費だけに特化された平凡なコンパクトカーになってしまった。
コメント
コメントの使い方